第30話 『新たな旅立ち』
「西方最古の研究所...創織の塔」
フィリアが地図を広げる中、一行は町外れの丘で今後の計画を練っていた。地図には、西大陸の奥地に聳える巨大な塔が描かれている。
「理論的に分析させていただきますと」リーフが慎重に。「現在地点から創織の塔までの直線距離は約372キロメートル。しかし、その行程における危険度は...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、その声には緊張が混じる。「でも、今回は詳しく聞かせて」
「なあ」フレアが真剣な面持ちで。「オレたちの正体が、あそこに...」
「私が情報を集めました」ミストが静かに報告を始める。「創織の塔は、約千年前に建造された研究施設。そこで、最初の魔法エネルギー変換実験が行われ...」
「ねぇ」ポップが不安そうに。「僕たち、本当は何なのかな」
翔太は黙って地図を見つめていた。首都から始まり、ここ西大陸まで。彼らの旅は、もはや単なる配達の域を超えている。
その時、思いがけない来訪者が現れた。
「よく、ここまで来ましたね」
振り向くと、そこにメリッサの姿があった。
「なぜ、あなたが!?」フィリアが驚いて。
「私にも、知りたいことがある」メリッサの目が真剣だ。「東西の魔法を繋ぐ鍵...それは、私の家族の研究でもあったの」
「家族の...?」
「ええ。父は、東西の魔法を統合しようとした研究者。でも、ある日突然」彼女の声が沈む。「研究所から、姿を消した」
一同が息を呑む。
「もしかして」フィリアが閃いた。「あの老人は!」
メリッサは小さく頷く。
「私も、そう思う」
「でも」翔太が問いかける。「なぜ商人ギルドの副総裁が?」
「配送網は、魔力の流れそのもの」メリッサが説明する。「だから私は、商人ギルドに...」
その時、遠くで警報が鳴り響く。
「西方物流公社が動き出したようね」メリッサが急ぐ。「これを」
彼女が差し出したのは、古びた研究ノート。
「父の残した記録です。創織の塔で、きっと役に立つはず」
「メリッサさん...」
「私は、ここで足止めを」彼女が微笑む。「あなたたちには、行くべき場所がある」
一行は、決意を固める。
「みんな」翔太が仲間たちを見回す。「覚悟はいい?」
「うん!」
「熱くいくぜ!」
「理論値も超えます!」
「任せて」
「はい」
フィリアは杖を強く握る。
「届けましょう」彼女が静かに、しかし力強く。「私たちの手で、真実という荷物を」
西の空に、創織の塔の影が浮かぶ。
彼らの物語は、新たな章へと進もうとしていた。
(続く)




