第28話 『機械仕掛けの罠』
「こちらが、我が社の魔力変換施設です」
銀色の制服の男が、巨大な機械室へと案内する。青く輝く管が縦横に走り、その中を魔力が流れている。
「まるで血管みたいだね」ポップが小声で。
「理論的に分析させていただきますと」リーフも普段より控えめに。「この装置は魔力を物理的エネルギーに変換し、さらにその効率は...」
「うるさ...」ルナが言いかけて、ハッとする。「この感覚...」
「気づいたか」フレアが珍しく冷静に。「オレたちの魔力が...」
「私も調べています」ミストが影のように施設内を探る。「どうやら、この装置は魔力を吸収しているようです」
フィリアは杖を強く握りしめていた。確かに、入館してから魔力が徐々に減退している。しかし、その仕組みは首都のものとは違う。より洗練され、そして残酷だ。
「素晴らしい観察眼ですね」
案内役の男が振り返る。その目には、もはや友好の色はない。
「我が社の magical energy extraction system(魔力抽出システム)に、お気づきになられたとは」
「あなたたち」翔太が一歩前に出る。「東方の魔法を...」
「ああ、そうです」男が薄く笑む。「東方の原始的な魔法を、より効率的なエネルギーへと変換する。素晴らしい技術だと思いませんか?」
「原始的?」フィリアの声が震える。「魔法は、そんな使い方のために...」
「さあ、もっと興味深いものをお見せしましょう」
男がレバーを引く。床から透明な壁が立ち上がり、一行を囲い込む。
「これは!」
「魔力隔離装置です」男が説明する。「特に、スライムの皆さんには興味がありまして」
「え?」ポップが不安そうに。
「東方のスライムは、我々の知らない magical conversion(魔力変換)能力を持つ。その研究のために」
「待って」翔太が怒りを込めて。「彼らは道具じゃない!」
「道具?違いますよ」男の声が冷たくなる。「彼らは、最高の研究材料です」
「させるか!」フレアが熱く叫ぶ。「オレたちは仲間だ!」
「理論値を超えてでも」リーフが珍しく感情的に。
「やってみなさい」ルナが冷ややかに。
「皆さん...」ミストも決意を込めて。
その時、予想外の出来事が起きた。
スライムたちの体が、かすかに輝き始める。
しかし今回は、これまでと違う光だった。
「これは...」男が驚きの声を上げる。「pure magical energy(純粋魔力)!?」
「私たちには」ポップが真剣な声で。「仲間を守る力があるんだ!」
五匹のスライムの魔力が溶け合い、透明な壁を包み込んでいく。
「さらに理論的な解説を加えさせていただきますと」リーフの声に力が籠もる。「この状態での魔力共鳴は、装置の限界値を超えて...」
「うるさいけど」ルナが珍しく微笑む。「今回は良いわ」
「熱い連携だぜ!」
「皆さん、一緒に」
フィリアの杖が、スライムたちの光に呼応する。
「これが、本当の魔法よ」
閃光が部屋を包み込む。
「まさか、東方の魔法がこんな」男が崩れ落ちる。「急いで本部に報告を...」
その時、警報が鳴り響いた。
「逃げるぞ!」翔太が叫ぶ。
一行は、混乱に乗じて施設を脱出する。
しかし、彼らの脳裏には新たな疑問が浮かんでいた。
なぜ、スライムたちはこんな力を?
そして、西方の本当の目的とは?
真実は、まだ見えない。
(続く)




