第27話 『西の港町』
「これが...西大陸」
トレードポート。西大陸最大の港町に降り立った一行は、目の前の光景に息を呑んだ。
煙を吐く鉄の煙突。規則正しく並ぶ機械仕掛けの荷役設備。そして、至る所で青く輝く魔力管。異国情緒というより、まるで別世界だった。
「理論的に観察させていただきますと」リーフが興奮気味に。「これらの装置は魔力を84.6%効率で変換し、さらに industrial-magic(工業魔法)として...」
「うるさ...」ルナが言いかけて、足を止めた。「でも、今回は説明して」
確かに、この未知の技術は注目に値する。
「すごい」ポップが目を輝かせる。「配達も、機械でやってるの?」
通りには銀色に輝く馬車が行き交い、その動力源らしき部分が青く発光していた。
「熱い...というか、冷たい感じだな」フレアが少し緊張気味。
「私、様子を探ってきます」ミストが静かに姿を消す。
フィリアは杖を握りしめていた。確かに、この地の魔法は東方とは全く異なる。より無機質で、工業的で...。
「おや、東方からのお客様?」
声をかけてきたのは、銀色の制服に身を包んだ男性。胸には「West Logistics Corporation(西方物流公社)」のバッジが輝いている。
「はい」翔太が応える。「結衆社の...」
「ああ、噂の送料無料システムを展開する会社ですね」男性の目が鋭くなる。「我々も、大変興味を持っております」
その時、男性の視線がスライムたちに注がれた。
「特に...生体による magical energy conversion(魔力変換)には」
「理論的な観点から質問させていただきますと」リーフが食い気味に。「この街の魔力システムは...」
「ご興味があるなら」男性が笑みを浮かべる。「我が社の研究施設をご案内しましょうか」
一同が顔を見合わせる。
その時、ミストが戻ってきた。
「皆さん」彼が小声で。「街の各所に、首都で見たような魔法陣が...」
翔太は即座に決断を下す。
「ご案内、お願いできますか?」
「でも」フィリアが心配そうに。
「大丈夫」翔太が静かに。「私たちは配達のプロだろう?」
「情報の受け取りと配達...ってことね」ルナが理解を示す。
「熱い潜入作戦だぜ!」フレアが声を潜める。
「理論的成功率は...」
「今は黙って」ポップが珍しく真面目に。
案内された先には、巨大な工場のような建物が待っていた。
その屋上には、見覚えのある魔法陣が。
「では、ご案内いたしましょう」男性の声が妙に冷たい。「我が社の、最新鋭の magical energy plant(魔力プラント)へ」
一行は建物の中へと消えていく。
未知の技術と、見えない危険が待ち受ける異国の地で、彼らの新たな戦いが始まろうとしていた。
(続く)




