第20話 『首都ギルドの試練』
「本日の試験配達は、この5件です」
首都ギルドの試験官が、高圧的な態度で告げる。背後には大勢の配達ギルド関係者が、嘲笑的な視線を向けている。
「制限時間は2時間。これが首都での標準時間です」
翔太は地図を見て、眉をひそめた。配達先は街の四方八方に散らばっており、馬車でも簡単ではない距離だ。
「さらに」試験官が不敵な笑みを浮かべる。「それぞれ特別な配達条件が...」
「生鮮食品の保冷、高級品の完全保護、重量物の安全配達...」フィリアが条件を確認する。
「理論的に分析させていただきますと」リーフが跳ねながら。「通常の配達ルートでは所要時間が2.3倍となり、さらに...」
「うるさいわね」ルナが冷静に。「でも、確かに難しいわ」
「無理な注文だぜ」フレアが唸る。「わざとだろ、これ」
試験官の笑みが深くなる。しかしその時。
「よーし!」ポップが元気よく跳ねる。「みんなで分担すれば余裕だよ!」
「え?」試験官が驚く。
「待って」フィリアが思案顔で。「この配達、もし...」
翔太も気づいたように頷く。
「みんな、作戦会議だ」
スライムたちが集まる。
「えっと」ポップが真剣な顔で。「生鮮品は僕の保存魔法強化で!」
「重量物はオレに任せろ!」フレアが熱く。「熱い根性で持ち上げてやる!」
「理論的な配達順序を計算しますと」リーフが嬉しそうに。「この経路を通れば...」
「分かったわ」ルナが微笑む。「私は高級品を。繊細な扱いなら任せて」
「後方支援と連絡は私が」ミストが静かに。
フィリアは杖を掲げる。
「私の新しい魔法で、みんなをサポートします」
スライムたちが一斉に飛び出す。試験官は呆気にとられていた。
「ちょ、ちょっと待て!そんな分担配達は...」
しかし、すでに彼らの姿は見えない。通信魔法で、次々と報告が入る。
「一件目、配達完了!」
「こっちも無事届いたぜ!」
「理論通りの進行です!」
「予定より早いわ」
「異常なし、です」
試験官は時計を見て、目を見開く。
「ま、まさか。まだ1時間も...」
その時、スライムたちが次々と戻ってきた。
「はい!全配達完了です!」ポップが元気に報告。
首都ギルドの面々は、言葉を失ったように立ち尽くしていた。
「これが」翔太が静かに告げる。「私たちのやり方です」
「スライムだからこそ」フィリアが続ける。「できる配達があるんです」
試験官は深いため息をつく。
「まさか...本当に」
そして、観念したように告げた。
「合格だ」
「やったー!」
「熱いぜ!」
「理論的に考えると当然の...」
「うるさいわね!」
「皆さん...」
翔太とフィリアは、喜ぶスライムたちを見つめる。
首都という大きな舞台。でも、彼らは変わらない。
いや、むしろ輝きを増している。
(続く)




