第19話 『首都の朝』
首都キングスロードの玄関口で、ポップが目を輝かせていた。
「うわぁ...すごい!ビルが空まで届きそう!」
「熱い景色だぜ!」フレアも興奮気味に。
「理論的に分析させていただきますと」リーフが早速説明を始める。「首都の人口密度は地方都市の約4.7倍で、さらに商業地区の集積率は...」
「もう、うるさいわね」ルナが冷ややかに。「まずは今日の配達ルートを確認しましょう」
「私が地図を」ミストが静かに資料を広げる。
翔太とフィリアは、そんなスライムたちのやり取りを見守りながら、首都ギルドへの挨拶に向けて最終確認をしていた。
「ここは地方と勝手が違います」フィリアが心配そうに。「商人たちの力関係も複雑で...」
「大丈夫」翔太が微笑む。「私たちには、最高の武器がありますから」
「武器?」
「はい。みんなの笑顔です」
その時、道路を大きな馬車の隊列が通り過ぎる。立派な配達馬車が、整然と動く様子は圧巻だ。
「へぇ...」フレアが少し気圧されて。「すごい数だな」
「理論的に考えると、私たちとは異なるアプローチで...」
「黙りなさい。でも」ルナが珍しく表情を曇らせる。「確かに、規模が違うわ」
翔太は地図を見直していた。首都の配送網は複雑に入り組んでいる。そこに新規参入するのは、並大抵の努力ではできないはずだ。
「でも」フィリアが静かに杖を握る。「私たちには、誰にもない物がある」
その時、横を大きな配達馬車が通り過ぎる。スライムたちの姿を見た御者が、あからさまに嘲笑う。
「へぇ、噂の田舎の配達屋かい?」
「スライムごときで、首都で通用すると思ってんのか?」
付き添いの配達員たちも、嘲笑を隠さない。
しかし——
「そうだよ!」ポップが元気に跳ねる。「僕たち、結衆社の配達スライム!」
「理論的に言わせていただきますと」リーフが得意げに。「私たちの配達成功率は...」
「まあ」ルナが優雅に。「田舎者に何が分かるかしらね」
「熱い根性、見せつけてやろうぜ!」フレアが燃える。
「私たちなりのやり方で」ミストが静かに。
翔太とフィリアは、思わず笑みがこぼれる。
「やっぱり」フィリアが杖を握る。「この子たち、大丈夫ね」
「うん」翔太も頷く。「首都だろうが、私たちは私たちのやり方で」
ギルドの建物が、目の前に聳えている。新しい挑戦の舞台で、彼らはどんな配達を見せるのか——
朝日が首都の街並みを照らし始めた。結衆社の新しい一日が、今、始まろうとしていた。
(続く)




