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ラグニゲル王国歴史書  作者: かぼちゃ豆
第一章 ラグニゲル王国の実情
3/4

第二話 「真実」

よければご一読ください!!


俺は、先の会議の後、早速用意された部屋へと通された。


あまりにも急すぎる部屋の用意だったのか、床のところどころに水滴が落ちている。

 

綺麗といえど、もともと使っていなかった部屋を急いで掃除したらしい。


ご飯は持ってきてくれる、らしいし、所望したものは可能な限り持ってきてくれるとのことで、以前の奴隷生活からしたら信じられないくらいの奇跡が起こっていた。


しばらく自室から見える景色を眺めてから、ふとこの世界について知りたくなってきた。


「すいませーん、誰かいらっしゃいますかー?」


と投げかけたら、


「ただいまー」、という女の人の声が聞こえてきた。


ものの数秒してから、ドタドタという音とともに扉が開かれた。


「何でしょうか?」


「少し、知りたいことがあって・・・。」


って、俺にマシンガントークをしてきた人だ。


まぁ、それはいいとして。


「この世界について少し知りたいのですが、お時間ありますでしょうか?」


と聞いた。


すると、彼女は手首のほうをチラッと見て、


「はい!なんなりと!」


と、即答した。


ーーー


お互いに向かい合って、椅子に座ってから、俺のほうから質問を始めた。


「あの、なぜ俺はこんな所にいるのでしょうか?

 元々いた世界で、奴隷のような身分でしたので、不思議でしょうがなくて・・・。」


というと、彼女はどこかバツが悪そうに、


「えーーと、ですね。

 少しお話が長くなりますが、よろしいでしょうか?」


俺は、もちろん、と返事をした。


「では。

 何分おとつい起こった出来事ですので、これが事実、と言い切れないのですが。」


コホン、と小さく咳払いをしてから話し始めた。


「まず、この世界は主に海、陸、空、地下の4つにわかれていて、それぞれ統治している国が多種多 

 様、その数は1000を超えるといわれています。


 そして、あなたが来たこの国は、陸の、南東に位置していてラグニゲルと呼ばれています。

 正式名称はラグニゲル王国。


 その周りは陸南部有数の列強国に囲まれています。


 私たちは古代から貿易が盛んで、各国の玄関口と呼ばれるほどでした。

 

 しかし、ここ最近かなり大きな災害が起こり、飢饉とも重なったため、私たちが食料や金を大量に

 隠し持っているとどこからか噂されるようになりいつ攻められてもおかしくない状況にあります。


 そこで、我が国の王様は突如として姿を消してしまいました。

 元々やんちゃなお方でしたが、どれも国の一大事とはいえるほどでもありません。


 しかし、姿を消した、というのには聞いた者みなが閉口しました。


 なぜなら・・・、彼は大陸きっての大魔法使いだったからです。」


聞きなれない言葉をたくさん聞いたが、魔法使い?というものは全くわからなかったので、聞いてみた。


「魔法使いというのはなんでしょうか?」


あぁ、と言わんばかりに即答して、


「魔法使い、というのは魔法という・・・ものを操る者の総称です。


 例えば、こんな風に簡単に火を起こしたりすることもできます。」


というと、彼女の手からボッ、と小さな火が出た。


めらめらと燃える火に魅了されるとともに驚きが声が出ないでいると、


「まぁ、言わば普通の人にはできないこと、と捉えてもらって構いません。

  

 ここではそんなに重要な話ではありませんので。」


いやいやいや、と小さく否定しつつも、話の続きが気になったので、適当に相槌を打つ。


「はい。

 えーーと、続きは・・・、あ。そうそう。


 彼が大陸きっての魔法使い、つまりかなり強かった存在でした。


 それだけに、周辺の列強国はなかなかこの国を攻めることができませんでした。


 彼が本気を出せば、1国や2国は軽く吹き飛んでしまう、というお話までありましたから。


 しかし。彼が突如いなくなって、急に周辺諸国に流れていた空気が緊張状態になりました。


 どこから情報が漏れたのかはわかりませんが、そのことが知れ渡らないように、再び王様を取り戻

 そうと召喚魔術の使えるものを世 界中から集め、国家予算の半分を使いました。」


「ちなみに、召喚魔術とは、遠くにあるものをすぐ近くへ呼び出す魔法です。」


 小さな皮肉のようにペッと言い捨てて、


「しかし、そのほとんどがお金目的で、さすがにもう諦めよう、と話していた中で一人の男性が現れ

 ました。


 その男は絶対に王様を召喚することができる、と言い張ったので我々はこれで最後、と藁にもすが

 る気持ちで彼に託しました。


 いざ、召喚魔術が始まると、これまでとは明らかに違う反応が見られたので、これはいけるのでは

 ないか、と歓声があがりました。


 ただ・・・、その魔法を使っている最中、魔法の中から黒いなにかがでてきて突如その男を消して

 しまいました。


 あまりに突然の出来事だったのでみな放心状態で見つめていました。


 数秒黒い何かが音を発した後、その黒いものもなくなってしまいました。

 

 その後、裏山のほう・・・、あなたがいた付近で爆発音が聞こえたので騎士の方々が出動したとこ

 ろ、あなたがいたのです。」


と、一通り話し終えたころ合いで話についていけない俺を傍目に


「そろそろ、昼食の時間ですね」


と断りもせずに外へ出て行った。



ー――


しばらく待った後、彼女が出てきたのはおよそ20分ほどだろうか。


お皿が木の机に置かれ、彼女が椅子に座ると、料理の説明がなされた。


「あなたから向かって右側にあるのが練りパン。

 そして左側にあるのが焼きツモ漬けです。

 この焼きツモは自国の名産品で、祭礼などの際に出される一級品です。


 今日はこの国のことを良く知ってもらおうと用意させていただきました。


 それでは、いただきましょう。」


と彼女が言った後、俺はがつがつと食べ始めた。


それだけおいしかったというのもある。

というか丸二日何も食べてなかったからな。


特に何も言わずに半分ほど食べたのち、急に視界が暗くなってきた。

なんだか、頭がクラクラした・・・。


気づいてら、ガタッという音とともに、俺は床に倒れていた。

 

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