あたしが転生してきた意味。
「ねえねえ、このデニム地のズボン、良さそうだよ」
「あ、これも。このジャケットいい感じ」
「ふふ。このブーツ、これなら今のノワの足にもちょうどいいかも?」
「装備はね、あたしのインベントリに良さそうなのがあったからそれをあげるわ。だから今選ぶのは日常着る服ね」
お店には結構いろんなサイズの服が並んでいた。
特にここは子供サイズの服が充実しているお店みたいで、ノワにちょうどいいのがいっぱいあった。
試着室に良さげなのを見繕ってノワを押し込んで。
遠慮しいしい、それでもありがとうと言って入っていったノワ。
あは、出てくるのが楽しみだ。きっと似合ってるよ。
装備に関しては結構フリーサイズなレアアイテムが揃ってるからあんまり心配しなくても大丈夫。
マジックアイテムは装着者の体型に合わせてフィットするよう設計されてるからね。
子供でも大人でも、男性でも女性でも、どんな体型でも大丈夫なように自動的に大きさを変えるから誰が入手しても大丈夫なんだしね。
かわいいノワにはほんとなんでも似合いそうだけど、それでもあたし好みの服をプレゼントしたい。ついついそう思っちゃう。
いきなり死んじゃってこの世界に転生した時は、もうどうしていいかわかんなかったしやっぱりちょっと悲しくて生きる希望っていうのが見えなくなっていたけど。
極力明るく振る舞ってはいたけど、それでもやっぱり不安もいっぱいだった。
でも。
今ならわかる。
あたしはノワを助けるためにここにいるんだ。と。
ノワを助けてゲームとは違った人生を送って貰うために、あたしはここに転生してきたのだと。
そう思えるの。
正直ゲームの開発側ではあったけどそこまで詳しいシナリオがわかっているわけでは無いただのデバッガーだったあたし。
それでも、誰よりもゲームの奥深く冒険してきたって自負はある。
開発の割と初期から関わって、バグ探しと称していろんな場面を経験したあたし。
ゲームの隅から隅までを旅するために、初期からチートなキャラで冒険してきたあたし。
このマギアクエストの世界であったら、誰よりも長い時間ゲームの中にいた自覚はある。
そんなあたしがノワが闇落ちしてしまう一番大事な場面に遭遇できただなんて、それって絶対に神様の思し召しだってそう思えるの。
ノワを助けることでゲームの世界とは違う世界になってしまうのかもしれない。
あたしの知識が役に立たなくなるかもしれない。
でも、そんなことはどうでもいい。
あたしが今ここにいて、そうしてノワを助けることができた。
そして、この先のノワを幸せなエンディングに持っていくことができるかもしれない。
そのためにあたしはここに転生したんだと。
ノワと、もふもふしながら幸せになれるのなら。
あたしはもう何を投げ出しても構わない。
そう思うのだ。




