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マギアクエスト!  作者: 友坂 悠
マギアクエスト!

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13/72

マナと魔。

 人の肉体というものは脆いものだ。

 皮膚は簡単に傷つき、熱には焼かれ寒さにも弱い。

 どんなに鍛え鋼のようだと称される肉体を手に入れようと、人の体が脆いことには変わりがない。

 戦いの中で四肢を欠損するならまだマシで、命を無くすことも簡単にあり得てしまう。


 ゲームであるのならそんな脆い肉体であってもたとえ死んでしまってもやり直しが効く。

 そう。

 ゲームであるのなら。だ。


 現実となった世界に命の替えはない。

 死んでしまえばそれまでだ。

 たとえどんなに力のある聖者であったとしても、死んでしまった人間を生き返らせるなどという奇跡は簡単にできることではないだろう。


 それが100%不可能なことかどうかはあたしにはまだ判らないけれど。


 というか。

 死んでしまったら、その後の保証なんてどちらにしてもどこにもないのだ。

 女神様に気まぐれで生き返らせてもらう、とか、そんなことを期待するわけにはいかないじゃない。


 まあ。

 あたしのアバターであったマキナは龍神の末裔である天神族で、初期パラメータも他の種族の追随を許さず。その強靭な肉体と魔力特性値も無限大と桁外れなチート性能で。

 まあバグを見つけるデバッガーとしてはそれくらいなチートキャラじゃないと時間が足りないって理由もあったんだろうけどね。

 そんなマキナとしてこの世界に転生したあたしは幸いにして天神族としての全ての能力をどうやら持ったままらしい。


 強靭な肉体は、その皮膚の上にも天然のバリアを持つ。

 魔力のバリア。

 薄皮一枚の厚さで広く覆うマナの膜。

 それは熱にも寒さにも強く、そして鋭い刃をも防ぐ強靭さを兼ね備えている。

 ああ、もちろんそれに甘えずちゃんと防御はするけれどね?

 油断してバリアを突き抜ける攻撃を浴びちゃったらなんて、そんなおバカなことにはなりたくないもの。


 そんなわけであたしは一応簡単には死なないくらいの防御力は常に展開しているわけだけど、それにましてのこのマギア・アウラクリムゾンなわけだ。

 基本、あたしが考えるより早くこの盾が反応してくれる。


 ふふ。


 そんな意味でもあたしの守りは基本鉄壁と言っていいくらいなのだった。




 大気中のマナが濃くなっていくのを感じながら、その一番濃い場所を目指して突き進む。


 枝葉を避けながら飛ぶように走るあたし。


 身体は軽い。


 どれだけ走っても息が上がらないなんて、ほんとにこの身体は高性能にできてるなぁ。

 そんなふうに自分のことながら感心して。



 マナというものは濃縮すると魔に変わる。


 気体が液体に、そして固体に変わるように、状態変化を起こすのだ。


 そうしてそのより濃縮され濃くなった魔は生命にとっては毒となる。


 生き物が魔物に変わるのは、そうした魔の影響が大きい。


 そんな魔物が魔獣へと変化した暁には、その体内に濃縮した魔を溜め込んで。

 その魔は結晶化して魔石へと変わる。


 要するにマナをエネルギーに転換しそれを濃縮凝縮したものが魔石となるわけだけど、その過程において生物のレイスが果たす役割は大きいということだ。


 魔獣となった魔物はもう生物の体をなさず。

 精神生命体というべきものに変化してしまっている。


 レイスの中心に魔石を生み、そしてその肉体のがわは魔の膜でできている状態で。

 ああ。あたしのような天神族と少し似ている?

 違いがあるとしたら、魔獣の肉体はすでにその全てが魔でできているといったところだろうか?

 だからかな。

 魔獣を倒すとその場には魔石が残る。

 魔獣を倒して魔石がドロップするという設定の裏話なんだけどね? これ。

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