表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/39

9話

(フィロル視点)



その日私はたまたま仕事が早く終わり、ギルド内の自分の部屋でお茶を飲んでいた。そんな時だ。部屋にあわてた様子のメルが入ってきたのは。彼女はどんなことが起こっても仕事の時はあまり動じないタイプだったのでその様子を見て私は驚いた。



「ギ......ギルド長!大変です!」


「何があったんだい?」



私は動揺を隠し、平然さを保ちながら言った。



「今日私のところで登録したばかりの少女の冒険者が、ブ、ブラックローウルフを狩ってきました!しかも全部で三十三体!それに、信じられませんがおそらく魔法を無詠唱で!」


「はぁ?」



意味が分からなすぎて思わず変な声が出てしまった。ブラックローウルフを三十三体というのも可笑しいが魔法を無詠唱とはどういうことなのか。まるで御伽話に出てくる女神(・・)ではないか。だが、彼女はそんな冗談を言う子ではない。まさか、魔族か私と同じエルフだろうか?しかしそれでも、魔族もエルフも無詠唱で魔法を使うなど聞いたこともないし、エルフに限っては村から出るものが殆どいない。村から出て生活している私は変わり者と言えるだろう。とにかく私は警戒しながらもその少女と会ってみることにした。









***








部屋に入るとそこには真っ白なローブのフードを深く被った少女と思われる人物がいた。顔は見えないが声は聞いただけで腰が砕けそうなほど透き通った美しい声をしていた。また、まだ成人したばかりくらいの年齢だということがわかった。


だが、見た目や最近この街に来たばかりということから何かあるのではと思っていた。しかし、よくよく考えてみればそんな人物が自分から目立つ行動をするのだろうか?そう思い、私はあえて本当のことを目の前の少女ティーナに言ってみることにした。



「ティーナさんが悪い人って言ってる訳じゃないんだけれど、まだ街に来たばかりなんだよね?それにギルドカードも作ったばかりで身元もよく分からない。それにローブをこれでもかっていうくらい深く被っていて髪も瞳の色もわからない。分かるのは若い女性ってくらいで種族もわからない。だから........ごめんね」



私がそういうと彼女は少し考えた素振りをしたあと、何か決意したように話し始めた。





話を聞くと彼女はどうやら記憶がないらしい。それなら少し常識がおかしいのも頷けるし、私自身彼女の言葉の中に嘘がないと思った。


だが一つ私には疑問があった。なぜ彼女はローブを被っているのだろうか、と。記憶がないのなら顔を晒して知人を探すのがいいのではないかと思ったのだ。もしかすると、顔に火傷の傷でもあるのだろうか。私は失礼だと思いながらも聞いた。


すると、彼女は瞳の色が珍しいからだと言った。私はそこで少しだけ安堵した。ならばと嫌でなかったら顔を見せてくれないかと問うと意外にもすんなりと彼女はフードだけでなくローブごと全てを脱いだ。



そこで私は絶句した。彼女は私が今まで見てきたどんなに美しい女性よりも圧倒的な美しさを持っていたからだ。もはや次元が違った。彼女自身も言っていた珍しい色はアメジスト色の美しい瞳だった。それにも驚いたが彼女の完成された美の前ではそんなことどうでもよくなっていた。また、その美しいアメジストの瞳とさほど珍しいこともないストレートの長い白金の髪がより彼女を神秘的に見せていた。彼女が自分は女神なんだと言ったとしても私はきっとすぐに信じてしまうだろう。

そしてまだそれだけでなく、腰は今にも折れてしまいそうなほど細いのに、その上には豊かな大きな果実が二つ存在を主張するように実っていた。肌もシミひとつなく真っ白でまるで雪のようだった。



思わず見惚れてしまった私は自分でも顔が真っ赤になっていることがわかった。


彼女にどうかしたのか、と聞かれて思わず誤魔化そうかとも一瞬思ったが正直に答えた。


すると彼女は私の言葉をお世辞と勘違いしたようで、私はそれを謙遜しているのだと思い、言おうとしたが彼女が笑っているのを見て、本気で言っているのだということがわかった。


それから話を聞いていくと彼女は基本的になんでも知っていることを話してくれた。だが、無詠唱で魔法を使ったことについて彼女に聞くと彼女は涙を流した。



「大丈夫ですか?」



記憶は忘れていても、辛いことがあったから泣いているのではないかと思い声をかけたが、返ってきたのはなんのことか、という返事だった。まさか、泣いているのに気がついていなかったのかと思った私は彼女を混乱されないように泣いていることを伝えた。



私は彼女が落ち着くまではそっとしておいた方がいいと思い、静かに様子を見守っていた。

すみません!フィロル視点は終わらせるつもりだったんですが終わりませんでした!

次は必ず終わらせます!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ