7話
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ローブのフードだけではなく私はローブそのものを脱いだ。だがもちろん下には膝より少し下くらいまであるワンピースを着ているから安心だ。これは形を変えるだけでなく二つに分かれることもできるのかとさっきは驚いた。
「ど、どうかしましたか?も、もしかして私は気づかなかったけど変なところとか...........」
こちらを凝視して固まっている二人を見て、自分では気づかなかったが、もしやツノが生えていたりしたのだろうか、と思い私は自分の頭を確認するように触った。
そんなティーナ見て正気を取り戻したフィロルは、それを否定するように言った。
「あ、いえ、そうではないのですが.........とてもお綺麗な方だと思いまして......」
私はこてんと頭を傾げて考えた。
おきれい?綺麗?誰が?今私の話をしてたはずなんだけれど.........って、私が?!
「私なんか辺境の村娘と同じですよ?あ、お世辞ですよね。すみません、私勘違いして.........」
私は誤魔化すようにあはは〜、と笑った。
フィロルさんが驚いた顔をして、「いやいや、お世辞なんかでは.........いえ、なんでもありません」と、何故か何かを察したような顔をしていった。
「それでティーナさん、事情は分かりましたがどうしますか?今ならおそらくBランクに上げても問題ないと思われますが.........」
私は少し考える素振りをした後言った。
「Bランクになることで何かメリットはあるんですか?」
「そうですね.....受けることのできる依頼が増えるというのはともかく、Bランクの冒険者ともなれば身元も保証されますし、あと、指名依頼が入ってきたりしますね。指名依頼だと報酬も高くなります」
なるほど......自分でもよく分からない身元が保証されるというのは今の私にとってかなり魅力的だ。
「分かりました。じゃあBランクでお願いします」
私がそういうと、フィロルさんは後ろの方にいるメルさんに話しかけた。
「分かりました。じゃあメル。ティーナさんの新しいギルドカードを持ってきてくれるかい?」
「え?あ、はい!わ、分かりました!しっ、失礼します!」
そう言い残すと、メルは部屋を飛び出した。
そんな様子を見ていた私は「メルさん、何かあったんですかね?」と口にするが、フィロルさんが「大丈夫ですよ」と言ったのでメルさんが戻ってくるのをおとなしく待つことにした。
「あの.......ちなみにBランクの冒険者だと身元が保証されるとか言ってましたけどBランクってすごいんですか?」
自分の中では、2〜3年ほどやっていれば誰でもなれるくらいなのでは、と思っていたが返ってきた答えにティーナは驚愕するのだった。
「そうですね、基本的にBランクの冒険者は一生を冒険者としてやってきた人でも、一握りほどしかいませんね。殆どの冒険者は一生を通してCランクほどで生涯を終えますね。それに対してティーナさんはまだ十代なのにBランク冒険者でそれを遥かに上回る実力、本当に規格外としか言いようがありません」
「え、えっと、そうなんですね.........あ、あははははは〜」
もはや乾いた笑いしか出てこなかった。
「ティーナさん一つ質問があるのですが.........」
「なんですか?」
フィロルさんが改まったように話しかけてきた。いろいろと助けてもらったのでどんな質問でも答えようと思い耳を傾けた。
「メルから君が魔法を無詠唱で使っているのを見たと聞いたよ。それにブラックローウルフに目立つ傷がなかったというのも。それは本当?」
「詠唱ですか?えっと、魔法って頭に思い浮かべればできるものなのでは.........?それに、傷が無いのはそのブラックローウルフ?を私が全部魔法で凍らせたからです」
思っていたより普通の質問で、これくらいなら大丈夫だろうとティーナは素直に答えた。だが、ティーナとは反対にフィロルはその答えに絶句していた。
「............ティ、ティーナさん?それはつまり無詠唱の話は本当だということですよね?それにどんな規格外な魔法を使ったらブラックローウルフを三十体以上も............」
「あの、どうかしましたか?」
「あのですね......無詠唱で魔法を使える人なんていないんですよ。それこそ御伽話の中なんかじゃ無いと。それに、あなたが言っているそれでは理論上、魔力が足りて、想像すればどんな魔法でも使えるということでは?」
それを聞いて、今度はティーナが絶句した。
無詠唱で魔法を使える人がいないというのはどういうことだろうか。だって私だけでなく彼もいつも無詠唱で.........って、あれ?彼とは、誰だろうか?
考え込む私を見てフィロルさんが口を開いた。
「大丈夫ですか?」
「え?はい。大丈夫ですけど。何のことですか?」
私がそう答えるとフィロルさんが「だってティーナさん、あなた今泣いていますよ」そう言われてはじめて私は自分が泣いていることに気がついた。
なるべく早く恋愛に持っていけるよう頑張ります!
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