33話
『あのね。私達この扉の先に行きたいのだけれど、ここに書いてある女神?と精霊に認められし者ってどんな人のことを言っているのか知りたいのだけれど、貴方は知っているかしら?』
私は頭の中で精霊に話しかけた。
『知ってるよ!精霊に認められし者っていうのは精霊と契約している人の事を言ってるんだよ!』
案外予想通りだったことに、少しだけ目を見開く。
だが、問題は女神に認められし者だ。記憶を失っている私だけじゃなく他の三人も知らないなんて………
『じ、じゃあ、女神に認められし者っていうのは?』
『それはね、女神様に愛されて女神様の加護を持っている人の事だよ!僕達は女神様の愛し子って呼んでるの!』
予想外の精霊の言葉に私は驚愕した。そんな言葉聞いたことがない。それに精霊の言葉が本当だとしたら女神様は実在するということで………とにかく、私はそんな言葉は聞いたことがないから、今は他の三人に聞くしかないだろう。
「あの……女神様の愛し子って知ってますか?」
「「「女神の愛し子?」」」
あっ……その反応じゃ知らないんですね………
「はい。なんでも女神様に愛されていて、女神様の加護を持っているらしいです」
「……女神の愛し子かぁ…聞いたことねえな………てか、なんでそんな事をいきなり?」
ディルの言葉に身を硬くする。
今の流れ的には私は初め何も知らなかったのに、いきなり誰かに聞いたように話し始めたように見えるだろう。
次になんと言われるか緊張して、三人の言葉を待っているとフレインが口を挟んだ。
「待ちなよディル。みんなだって人に知られたくない事の一つや二つあるんだから」
フレインの言ってくれていることはとてもありがたい。
………でも、もう出会ってニ年以上が経つ。そろそろ言っても大丈夫なのではないか。皆んなならきっと、受け入れてくれる。そんな気がした。
でも、それは今ではない。今日宿に戻ったら……そうしたら、きっと………
「……フレイン、ありがとうございます。でも、帰ったら全部話しますね。私も分からないことが多いんですけど」
「あ、あぁ、わかった」
「そっか」
私は再び精霊に向き直る。
『ごめんなさい。さっきの続きなんだけれど、やっぱり私達じゃこの扉の向こうには行けないのかしら?』
『ううん。ティーナ様がいればいけるよ!』
私は精霊の言葉にギョッとして目を見開く。
私がいれば……?それは、私が女神の愛し子とやらだからなのか……?でも、私は精霊と契約してなんか………
そんな私の考えを読み取ったかのように精霊は言う。
『ティーナ様は特別なの!ティーナ様は女神の愛し子でもなんでもないよ!もちろん精霊と契約もしてないの!』
『な、ならどうして………』
『んー、それは多分今は言っちゃいけないんだ!でも、ここを開ける方法なら教えるよ?』
『本当?どうすればいいの?』
『ここ見て?』
精霊が指さしたのは扉の中心部分についている大きな水晶だ。だだの装飾にしか見えないがこれがどうかしたのだろうか?
『ここにティーナ様の血を一滴でいいから垂らすといいよ!本当はもっと簡単で痛くない方法があるけど、今のティーナ様には出来ないからね』
血という言葉に少し眉を顰めるが、精霊が言うのだから絶対だろう。
『ねぇ、この中には一体何があるのかしら?』
私は暗に気になって尋ねてみただけなのだが、精霊は少し悲しそうな顔をして微笑んだ。
『それは言えないけど、入ったら分かるよ。安心して、危険は絶対ないから。すぐに思い出すよ。早く助けてあげて』
『それってどういう………』
『いいから、いいから!』
「えっ、何?ちょ、痛っ?!」
「ど、どうしたの?って、指切れてるわよ?!」
いきなり精霊に背中を押され、何処からか小さな針を持ってきた精霊は私の言葉も聞かず右手の人差し指をプスッと刺した。
右手の人差し指からは真っ赤な赤い血が滲み出ていた。
いきなりのことで思わず声を出してしまったが、それどころではない。
今も精霊達に背中を押され続けている。
『ほらほら、早く!』
「えっ?ええっ?」
精霊に言われるがまま私は扉の水晶に手をかざし、人差し指から赤い血が一滴水晶に落ちた時だった。
本当にすみません!
まだかかりそうです!




