30話
「まぁ、とにかく行ってみましょ。ティーナ明かりをお願いできる?」
「はい。もちろんです!」
遺跡の入り口と思われる大きな扉を開けると、中は真っ暗で何も見えなかった。
アルカナに言われて魔法で明かりをつけると、とても広い部屋だということがわかった。
部屋の中には特に何かが置いてあるわけでは無かったが、正面に入り口の扉より大きな扉がある。
扉はこの遺跡と同じでとても古いといることがわかるが、とても細かい装飾の絵が描かれていて隣の壁には、文字がびっしりと書かれている。
そして、もう一つ気になったのは………
「何もないな……」
「いや、あるじゃない」
「二人ともそんなこと言ってる場合じゃないよ……」
「どうかしたのか?フレイン?」
「いや、ここすごいよ……」
「すごい?私にはとてもそんなようには思えないけど……ただの昔の神殿とかじゃないの?」
確かに一見するとアルカナがいうように、神殿のように見えるかも知れない。いや、もしかしたらそうなのかも知れないが、私とフレインが伝えたいのはそういうことじゃない。
「それはよく分からないけど……ここ………精霊の森と同じくらいの数の精霊が居るんだ………」
「えっ?こんなところに?ティーナにも見えてるの?」
「はい……」
そうなのだ。ここには今、フレインが言ってくれたようにかなりの数の精霊が居る。そして私は現在、その精霊たちに頻りに話しかけられ続けている。
『ティーナ様だ!』
『ティーナ様がいるよ!』
『何しにきたんだろう?』
『きっと、あの人を助けにきたのよ!』
『でも、記憶がないって聞いたよ?』
『そ、それは………』
精霊が多すぎて、一度に皆んなが喋るため何を言っているかが聞き取れない。
「おい!どうなってんだよこれ!入り口の扉が開がなくなってやがる!」
突如大声のした方を向くと私達が入ってきた扉は、いつの間にか閉じていてディルが開けようとしてもびくともしなかった。
「ど、どうして……?入ってくる時は簡単に開いたのに………」
「何かの罠か?」
ディルは私達、蒼天の銀の中でも圧倒的な体力がある。それでも開かないということは魔法なのだろうか。
私も含めみんなの顔がだんだんと険しいものになっていく。
「ねぇ、入ってくる時に扉を開けたのって……確かティーナだっわよね?」
「ええ、そうです」
「扉を開ける時に何かの魔法がかかってたりはした?」
確かに扉を開けたのは私だが、別に何か魔法がかかっていたりは………ん?でもあの時………
「魔法がかかってるのは分かりませんでしたけど、扉に触った時に何か違和感は感じた気がします」
「「「違和感?」」」
私の言葉にみんなの視線が私に集まる。
「はい。気のせいかも知れませんけど扉に触った時に、魔力がほんの少しだけ吸い込まれた気がしたんです」
扉に触れた時は指先が少し暖かくなるのを少し感じたくらいでおかしいとは思わなかったが、おそらくあれは魔力が吸い込まれたため、暖かく感じたのだろう。
「でも、それだけじゃディルが扉を開けられない理由は分からないわね」
「そもそも俺、この扉を触っても魔力が吸い込まれる感覚なんてしないぞ?」
ディルがほら、と扉に触って見せる。
そうして、私がそんなはずはないと扉に触れた時だった。一瞬だがさっきと同じように指先が暖かくなり、魔力が抜ける感覚がした。
ギィー………
「「「「えっ?」」」」
まさかと思い扉を見ると、本当に開いていた。
力自慢のディルでも開けられなかった扉が、触っただけで開いた事に驚きを隠せない私達だった。
私の後にアルカナとフレインも挑戦したが扉はびくともしなかった。だが、何故か私がやると必ず触れただけで扉は開いた。
「ティーナ……何かやった?」
「いえ………私は何も……たださっきと同じ様な魔力が抜けるような感覚はしました……」
………。
「ま、まぁ、これで最低限の安全が確保されたって事で………」
アルカナが沈黙を破ってくれた。
ありがとうございます!なんというか少し辛い空間でした………!
「まぁ、ティーナに何もないならいいけど………」
「それより、気になるのは向こうの馬鹿でかい扉と壁の文字だな」
そうして私達はもう一つの大きな扉と文字の書いてある壁の方へと歩みを進めた。
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