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23話

目を瞑ってから、暫くの時が流れた。

誰一人として声を発しようとせずただ男の子が選ぶのを待っている。


と、その時、ふと私の頬に柔らかいものが触れた。


もしかして、と思いゆっくりと目を開いてみるとそこには、顔をほんのりと赤く染めて俯いている男の子がいた。


いや、これからはルークと呼んだ方がいいのだろう。


私はルークに向けて微笑んだ。



「ありがとうございます……ルーク。あと、これからよろしくお願いしますね」



私は男の子の頭に手を伸ばす。手が触れた瞬間ルークは目をギュッと瞑り、身を強張らせたが私が頭を撫で続けていると、男の子は安心したように目を開き、ここにきて初めて少しだけ微笑んだのだった。


私はそれに少し驚いたが、同時に安堵もした。そして、それに返すように私も微笑んだ。



「そっかぁ〜、選ばれたのはティーナだったのね……羨ましい………」



そんな良い感じの雰囲気の中に空気を壊すように言葉を発したのはアルカナだ。


いや、こんな雰囲気だからこそ三人は誰も言葉を発せず、ここでこれを言えたのは彼女の勇気と言えるだろう。何だか申し訳ない………



「私もチュー……して欲しかったなぁ…………」



いや、前言撤回だ。やっぱり理由はそれだけなのか………


まぁでも、私はズルをしているから……それでも三人よりは名付けのセンスがあると思うけれど………うん。アルカナを元気にするためには、ルークに頑張ってもらうしか………


ルークに心の中でごめんね、と謝りながらルークに手招きをして耳元で作戦を囁く。


すると、ルークは分かったと言うように小さくコクリと頷き、項垂れているアルカナの前に立った。



「ん?……どうしたの?ルー君?」



ルー君というのはルークの愛称なのだろうか?


と、そんなことは今はどうでも良いが、ルークは私に言われた通りアルカナの服の袖をくいくいっと引っ張った。


すると優しいアルカナは予想通り、ルークと同じくらいの高さまで身を屈める。


そこに不意打ちでチュッ、とアルカナのほっぺにチューをした。



「きやぁぁぁあああ!!可愛い!なに今の?!私もう今死んでも悔いはないわ!」



叫んでいることは、何やら不穏だが喜んでいるならまぁ良かった。ルークに感謝しないといけないわね!


こうして、怒涛の一日は幕を閉じた。











***











あれから三日経ち、ルークを正式に私達が引き取ることが決まったので今日はルークの服などの生活必需品を買いに街を歩いている。


因みにメンバーは私とフレインだ。


私達のパーティー蒼天の銀はSランク冒険者のためかなり稼いでいて、毎日依頼を受ける必要もなく寧ろお金が余っている方なのだが、体が鈍ると良くないからといって、ルークに付き添うのは二人だけということになったのだった。


そして、行きたがっていたアルカナは初めて聞いたジャンケンというのをやって負けたため、来ていないのだった。



「最初は何から行きますか?」


「うーん、そうだねぇ……やっぱり服とかかな」


「そうですね。じゃあ行きますか」



ルークの右手には私、左手にはフレインの手が握られている。勿論ルークの髪色は変えているため、多種族が多いこの国では目立つことはないだろう。


そんな街の様子がめずらしく思うのか、ルークは尻尾を横に大きく振りながら目を輝かせて街を歩いていた。


必要なものは殆ど揃い、昼食も軽く済ませた後、思ったよりも時間が余ったので私達はルークが文字に触れる機会がある方がいいと思ったため、街の図書館に来ていた。



「とりあえず、子供でも読みやすそうな絵本とかにしようか」


「そうですね。ルークも気になった本があったら言ってくださいね」



私の言葉にルークがこくっと頷いた。


そうして本を探しにフレインは私とルークを残して反対側を探しに行った。私は本棚を眺めながら考える。


うーん……ルークは男の子だから、やっぱりお姫様とかそういうのより、魔王を倒して世界を救う勇者とかの方がいいのかしら………?


そんなことを考えながら、うーん、うーんと唸っていると、フレインが何冊かの本を持って帰ってきた。



「どう?二人とも?何か良い本とかあった?」


「うーん、私にはよく分からなくて………あっ、そうだわ!ルーは何か気になる本とか見つけた?」



私が尋ねるとルークはコクリと頷き、一冊の絵本を指さした。



「ええっと……なになに………『救国の竜と月』?」


「!ティーナ、それだよ!」


「えっ?」



私は、一体何のことだ、とフレインに視線を向ける。



「だから、こないだディルが言ってた女神様と竜王様の悲恋の物語だよ!」



すごい偶然だ。でも、この話は世界中で有名な話みたいだから、そんなに珍しくもないんだそう。


とにかく私達はその本も含め、何冊か借りて宿に帰った。


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