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2話

すみません!寝てしまって遅れてしまいました!頑張ります!

この森は以外と深かったようで、森を抜けるまで五〜六時間ほどかかってしまった。ここまでは、人間を襲う危険な魔物にも出会わなかった。おそらくこの森は、なんらかの力で守られていて、魔物も入れないようになっているのだろう。

またそこから、ニ時間ほど歩くと普通より少し大きめの賑わう街が見えて来た。


私はローブについたフードを深くかぶると、街の入り口の方に歩いて行った。

理由は、森を出る前に精霊達に顔は隠した方がいいと言われたからだ。私は、ストレートの腰下まである銀髪とアメジスト色の瞳だ。アメジスト色の瞳はかなり珍しいが、いないわけではない。ただ問題なのは銀髪なのだ。この世界に銀髪は存在しない。人間以外にもエルフ、ドワーフ、魔族などがいるがそれを含めても銀髪など存在するはずがないのだ。



そうなると、余計に自分が何者なのか気になるが、分からないものはどうしようも無い。ただ、銀髪では目立つので白金に髪の色を変えたのだった。




街の入り口に着くと衛兵が検問をしていた。しばらく並んでいるとようやく順番がまわってきた。



「次の者」



そう呼ばれ前に出る。



「身分を証明できるものは?」



そう聞かれ、そんなものが必要なのかと、声には出さないが少し驚いた。また、生憎自分が誰なのかも分からないのに身分を証明できるものなど持っているはずがない。


ど、どどどどうしよう!いや、ここはもう正直に......


「すみません。持っていません。生憎田舎から出てきたばかりで」



「なるほど、わかった。入っていいぞ」



それらしい理由を言うと意外にもすんなりと街に入れてくれた。



「へっ?いいんですか?」



そう尋ねると、一体何のことかと衛兵は少しばかり眉を顰めたがしっかりと私の質問に応えてくれた。



「.....あぁ、そういう奴は以外と多いからな。それに本当は街に入るために小銀貨二枚払わないといけないが、街に稼ぎに田舎を出てくる奴は、そういうのも知らない奴が多いからな」


理由を聞いてそれでいいのか、とも思ったが実際お金など持ってなく自分自身も助けられたのでありがたいとだけ、思っておくことにした。



「だが、街に入ったらすぐに冒険者ギルドにでも行って、ギルドカードでも作ってもらったほうがいい。ギルドカードは、冒険者達だけか持つものと思われがちだが、最近はどんな奴でも身分を証明するためにギルドカードを持っている。理由は、意外としっかりしているし、作るのに時間がかからないからだな」



「ありがとうございます。私もそうすることにします」



言い方や態度はあまり良くないけれど、とても優しい人なんだということが分かる。


思わずくすっと笑ってしまったがローブを深く被っていたため気付かれなかったようだ。









***









街に入ると、とても賑わっていてあちらこちらから食欲をそそる美味しそうな匂いがしてくるが、そもそも私はお金を持っていない。

とりあえず、さっき言われた通りギルドでギルドカードを作ってもらい、いい仕事があれば紹介してもらおうと街の人に聞きながら、ギルドまでたどり着いた。



ギルドはとても賑わっており、この街ではニ番目くらいに大きい建物だった。



「す、すごい!」



中に入ると正面に受付があり、左奥は食堂になっているようで冒険者達と思われる人たちが何人かまだお昼ごろなのにもかかわらず飲んでいた。


またちょうど、私がついたのが人が少ない時間だったようで、ほとんど待たずに受付にたどり着いた。


まずは受付でギルドカード?を作ってもらうのよね......



「あの.....身分を証明するためのギルドカードを作りたいんですが........」


「はい。分かりました。ではこちらに必要事項をご記入ください。あっ、代筆した方がいいですか?」



か、可愛い......!私と同じくらいだとは思うけれど栗色の髪に青い瞳なんて、なんだかリスやウサギの小動物みたい......!ギルドに来る人にモテそうだなぁ......




「......あっ、いえいえ、大丈夫です.........って、えっ?」



あ、危ない!失礼なことを考えていたら反応に遅れてしまったわ......ってそうじゃなくてこの文字......。


私は文字は覚えているようで大丈夫だと思っていたのに、、いくつか見たことのない文字が混ざっていたため驚いたがここは代筆を頼むしかなくなった。



「あのっ......やっぱり代筆をお願いしても良いですか?書けないことは無いんですがやっぱり少し心配で..........」


「はい。もちろんですよ」



それから、必要事項をかわりに記入してもらい、今すぐにできる仕事はないかと聞くと、



「そうですねぇ。すぐにできると言ったらやっぱり冒険者ですけど、あなたは女性ですしまだ若そうですから、あまりお勧めはできませんね。そうなると.........」



ぼ、冒険者......!なんだかいい響きだわ!それに今日の夕飯と宿のためにはそれしかない!



「いえ、それにします」


「えっ?」


「私、冒険者になります!」


「ええ?!ほ、本気で言ってますか?!危ないですよ?!」



その態度から、本当に私のことを心配してくれているのが伝わってくる。私は、ローブも被って顔も見せてすらいないのに、本当に衛兵さんやこの職員、この街の人達は良い人たちだ。


だけど、私には魔法がある。これだけでも簡単な仕事ならきっとやっていける。それに一箇所に留まるよりできるだけ、いろいろなところに行きたい!それなら、この冒険者という職業は私にぴったりといえるだろう。



「心配してくれて有難うございます。でも私、一応魔法も使えますし大丈夫ですよ」


「でも.........」


「じゃあ、これから私が仕事から帰ってきたら、毎回あなたのところに行って元気な姿を見せに行きます。そうすれば、あなたも心配しなくてよくなりますし。ね?」


「......わかりました」



受付嬢は不本意だという顔を浮かべたが私はそれに苦笑いして応えた。まぁ、ローブで見えていないだろうが。


「私、ティーナと言います」


「.....私はメルです。よろしくお願いします」


「えぇ、よろしくお願いします。メルさん」



.........。




「......っ、もう!大怪我でもして帰ってきたら、許しませんからね!ティーナさんっ!」


「ふふっ。わかってますよ。」



こんなたわいもない会話に私の心は温まるのだった。

決して、ガールズラブにはなりません。

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