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18話

未だに固まったまま動かなくなってしまった三人に声をかける。



「えっと、この子が荷台の中で大怪我をして瀕死の状態で倒れていたので魔法で怪我を治して連れてきたんですけど.........あの、どうかしましたか?」


「......っは!ど、どうかしたかってティーナお前......その腕に抱いてる子.........」



あ!この子のことかぁ......良かった、私に何かついていたわけじゃないのね!



「はい!五歳くらいの狼か何かの獣人みたいですね!今は一旦連れ帰って私が面倒を見ようと思ってるんですけど.........」



いいですか?と頭を傾げる。


そんな私とは裏腹にみんなは「「「そうじゃなくて!」」」と声を張り上げた。


みんな......私なんかじゃ子供の世話は見れないと思っているの?としゅんとする。


確かに私も若いけど、でも収入的には問題ないはずだ。助けたんだったら責任も取らないと......!



「あー!だからそうじゃないっつってんだろ!」



ディルは豪快に自身の頭を掻き乱しながらいった。



「え?違うんですか?」


「俺たちが気にしてるのは.........あー、なんつーかそいつの髪色なんだよ」


「髪色ですか?確かに珍しくて綺麗な髪ですよね」


「......まさか、知らないのか?」


「えっと、何がですか?」



私がそういうと、三人は本気で言ってる?と聞いてきた。私は訳もわからず混乱していると話は本人に聞けばいいということになって、取り敢えず街に帰ることになった。


もちろん男は街の衛兵に引き渡すつもりだ。


ディルが男を立たせると男の服の中から何かが落ちた。



「なにこれ?黒い......ナイフ?」



男を拘束しているディルに代わってアルカナがそれに触ろうとした時、背中に悪寒が走った。


どうしてアレ(・・)がここにある?



「ダメッ!アルカナ!」



私が叫んだ時には時すでに遅く、アルカナの指先が黒いナイフの刃先に触れ、指先からは真っ赤な血が一筋流れていた。



「え?うっ.......ぁ......」



途端にアルカナが苦しみ出す。その様子にギョッとしたフレインが風の魔法を駆使した正確な狙いでアルカナの手のナイフを弓矢を使って落とした。


それで終わるかと思われたがそう簡単には終わらなかった。


アルカナの目は元々赤かったがそれがより深く血のような色に染まり、ナイフを失ったアルカナは自身の腰に掛けている細剣を手に持ち正気を失ったように振り回していた。アルカナの目は焦点があっておらず何も感じていないようだった。



「なっ!アルカナ?!どうした!しっかりしろ!」



正気を失っているからか、普段のような速くて美しい剣裁きではないが、一般人にしてみたら十分な脅威と言えるだろう。


そんなアルカナを男を拘束しながらも相手をすることができるのは、流石としか言いようがない。


そんなことより、アルカナをどうにかしなければ......!恐らくあれはアルカナの意思など関係なく体が壊れるまで人を襲い続けるだろう。そして、それを止められるのは魔法だけだ。アルカナについている何か悪いものを祓わないといけない。


それが今できるのは......私しかいない。



「フレイン!ディルの代わりにその男を拘束しておいて、ディルはアルカナが動かないように抑えておいて下さい!私がアルカナに浄化の魔法をかけてみます!」


「「分かった!」」



フレインは弓矢を使って戦うためそういうのはあまり得意ではないが高ランク冒険者ということもあって余裕で男を拘束している。


対してディルは仲間を相手にするのが心苦しいのだろう。いつもとは違う少し悲しげな表情をしていた。



そのためにも私は早くアルカナを正気に戻さないと......!イメージはアルカナの中にあるドス黒い何かを引っ張り出して消滅させる.........よし!


詠唱は......うん、これがいい。どうか女神様に差す一筋の聖なる光のように闇を祓って欲しい......



「『女神の聖光』!」



途端にアルカナが私の魔法に包まれ、それに浄化されるようにアルカナから黒いモヤのようなものが発せられる。だが、それも逃すまいと私の魔法はモヤを消し去っていく。そして、それが全て消えた時アルカナの目は元の色に戻り膝から崩れ落ちるように気を失う。アルカナが地面に着く前に彼女を抱きとめたディルはなんともいえない顔をしていた。



「アルカナは大丈夫ですか?!」


「.....今は気を失っているだけだと思います」


「だがティーナ、アルカナはいきなりどうしちまったんだ?」


「......十中八九あの男が落としたナイフのせいでしょうね........」



ティーナは絶対零度の視線を男に向けた。




主人公、早く助けてやれよ!と思った方本当にすみません!

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