表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/39

16話

そうして、いきなり走り出そうとした私の手を誰かが掴んで止めた。



「おい!ティーナどうしたんだよ?!さっきから可笑しいぞ!」



私の手を掴んだディルだけでなく他の二人も心配してくれているのが分かる。


だけど今はそれどころじゃないのだ。早くしないと間に合わなくなってしまうかもしれない。


それに、だからと言って説明する時間もないし、どうしてそんなことが分かるのかということなら尚更説明することは出来ない。


こうなったら、仕方ない......ごめん皆......!



「ごめんなさい!後で必ず戻ります!」


「あ、おい!待てよ!」



私は無理矢理ディルの手を振り解き、魔法も使い全速力で荷馬車に向かって走り出した。


後で戻ったらみんなに謝らないとな、と考えていると後ろからよく知っている声が聞こえてきた。



「ティーナ!待てっつってんだろ!」


「は、はぁ?!ディル!ど、どうして?!」



驚いて振り向くと私の真横でディルが涼しい顔をして走っていた。


魔法を使っている様子もない.........って、いやいやいや魔法も使わずに私についてこれるってどんな身体能力なの?!



「どうしてってお前なぁ!そりゃあいきなり青い顔をして全速力で走り出したら心配するだろ!」


「そうだよティーナ。心配したんだから」


「その通りよ!私たちもう仲間なんだから!」


「ふ、二人まで?!」



右を向くとそこには、フレインとアルカナまでもが魔法を使わずに走っていた。


う、嘘でしょ.....ディルはともかく運動が苦手なはずのエルフのフレインと女性のアルカナまでついて来れるなんて.........


しばらく唖然としていたが足だけは止めない。



「で、ティーナ。お前が走り出した理由は今お前が追ってるあの荷馬車にあるんだな?」


「え、えと、そうです」



そこまでいうと、ディルは深くため息をつきいいか、と私の目を真っ直ぐに見つめた。



「今は急いでいるみたいだし何も言わない。ただ帰ったらちゃんと説明してもらうからな!」


「で、でも......」



私が勝手にしたいだけなのに......それにまた彼らに迷惑をかけてしまうかもしれない。この優しさに頼ってもいいのだろうか.........



「なにうじうじしてるんだ。これは俺たちがしたいだけなんだから気にしなくていいんだよ!困ったとき助け合うのが仲間ってもんだろ、な!」



仲間......仲間、か.........。困った時には助け合う。誰か一人のために全員が。今回はそれが私だったっていうだけ.........


私は思わず嬉しくなって頬が緩んだ。


私は恵まれてるなぁ......だってこんなに素敵な仲間に出会えたんだから.........。



「皆、ありがとう......」


「おうよ!」

「うん!」

「あぁ!」



「で、ティーナ私たちはあの馬車を止めればいいの?」



中にはおそらく『ルーク』がいる。精霊の言っていたことからおそらく気を失っているのだと思う。なら、私の魔法で止めた方が安全だろう。



「いえ、馬車は私が魔法で止めるので皆さんには、抵抗してくる人を拘束してほしいです!」


「「「了解!」」」



精霊は決して心の汚い人間と契約したりしない。精霊には人間の心の声が聞こえるのだ。だから『ルーク』が犯罪を犯して捕まっているとは考えられないのだ。また、精霊と契約しているものはあまり多くないため狙われやすい。


私はふっと短く息を吐いて気合を入れ直す。だが、足は止めない。


魔法のイメージは地面に固定する感じ?ううんそれじゃあいきなり止まった衝撃でまた怪我をしてしまうかもしれないわ。うう〜ん............そうだ!これなら!


思いついたことを咄嗟に行動に移す。すると予想通り馬車が止まった。いや馬車ではなくそれを引いている二頭の()が止まったのだ。


私は馬の頭の中に直接話しかけるイメージをして、止まってほしいとお願いしたのだ。一か八かの賭けだったが、精霊と話せる私なら動物とも意思疎通ができるような気がしたのは、どうやら正解だったようだ。



「なんだ?!どうして止まった!」



そして予想通りというべきか、その荷馬車を引いていた御者は慌てていて、すぐそばにいる私たちに気づいたのはそれから十秒後くらいだった。



「!だ、誰だ貴様らは!お前たちがこの馬車を止めたのか!」



大声を張り上げる頭の涼しそうな男に、私は冷静に問いかける。



「いきなりで申し訳ありませんが、後ろの荷台を少し見せてもらえませんか?実は先程助けを求める声が聞こえた気がして.........」



私がそういうと男は明らかに少し狼狽えた。だが、ここで引いたら終わりだとでも思ったのか、あくまでも平然を装って言う。



「そうでしたか。ですが私はただの商人です。そのような声を聞いたのであれば恐らく勘違いでしょう。では、遅れてしまうといけないので私はこれで.........」




進みが遅くてすみません!恋愛まではまだかかりそうです........うぅ.....頑張ります............

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ