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12話

「あ、あはは......なんかすみません。実は私記憶がなくて......」


「!そうだったんだ......ごめん......」



突然悪いことを聞いてしまったという顔をして、フレインは深く頭を下げた。



「ちょ、やめてください!私自身特に気にしていませんし、世間知らずの私が悪いだけですから!」



私が言うと、フレインさんは困ったようにまた苦笑した。



「で、ティーナさん!貴方私たちのパーティーに入る気はない?!」


「えっ?!」



そんなアルカナさんの突然の誘いに私は思わず声を上げて驚いた。だがそれを見て止めに入ったのは、今まで黙っていたフィロルさんだった。


「待ってください、アルカナさん。彼女は一ヶ月前に冒険者になったばかりです。もうすでにAランク冒険者ですが、流石にいきなり貴方たちと一緒というのは、本人の気持ちが最優先です」



そうなのだ。実はこの一ヶ月依頼をさまざまな依頼を受けて、私はすでにAランクの冒険者になっていたのだった。


どうしようか......話を聞く限りでは、国内でも三つしかないSランクパーティーに入れてもらえるのは嬉しいが、迷惑ではないだろうかと考えていた。



「いやいや、ギルド長......一ヶ月でAランクって流石におかしいでしょ.........」


「それはそうですが.........」



どうして認めてしまうんだとフィロルさんに視線を送った。それにフィロルは気付かないふりをして続けた。



「ティーナさんはどうしたいんですか?」



そこで注目が私に集まり、アルカナさんは目をキラキラさせて期待を込めた目で私を見ていた。



(うっ......あんなに期待されると断りづらい.........まぁ、断る理由もないんだけれど............)



ティーナは諦めて、ありがたく彼らのパーティーに入れてもらうことにした。



「不束者ですが、皆さんの役に立てるよう頑張ります。これから宜しくお願いします!」


「やったあ!よろしくね!私のことはアルカナって呼んで!私も貴方のことティーナって呼ぶから!」


「分かりました!アルカナ!」


「僕たちも呼び捨てでいいよ、ティーナ」


「俺のことは長いからディルって呼んでくれ!よろしくな!」


「はい!」



私はこれから楽しくなりそうだと胸をときめかせるのであった。









***









「えー、それじゃあ、蒼天の銀新メンバーティーナを祝してカンパーイ!」


「「「カンパーイ!」」」



あの後、私は蒼天の銀の三人と一緒に私の歓迎会をするといって、そのままギルドの食堂で夕食を食べることになったのだった。



「ぷはぁ〜最高!」


「にしても、本当に入ってくれるとは思わなかったぜ!」


「そうだね。いい意味でも悪い意味でも僕たちって目立つからね」



そんなことを話している私たちには、多くの視線が集まっているのがわかった。



「確かに、そうみたいですね.....皆さんってやっぱり凄いんですね....」


「いやいやティーナも同じ、というかそれ以上でしょ。きっと明日には街全体にティーナのことが知れ渡ってると思うよ」


「え?う、嘘だよね?」



私がそういうとフレインは遠くを見るようにして、苦笑していた。

これは、本気で言っていると私は悟った。



「それにしてもティーナって、本当に美少女というか美女というか、私たち以上に大変なことになりそうね......」


「いやいや、私なんてそんな......私に比べてみんなは、すごく綺麗でかっこよくて華があるというか.........なんか私、場違い感を感じます.......」


そう言って私はあはは......と笑った。



そうなのだ。会った時から思っていたが、みんなとても美形なのだ。ディルは荒々しい感じが獅子のように勇ましく、フレインは知的で爽やかなかっこよさがあり、アルカナは真っ赤な長い髪を高いところで一つに結んでいて、かっこいい女性というのはまさしく彼女のことだろうと思った。



「いやいや、場違い感を感じるのは俺たちの方だよ…...まぁ確かにそういうことを言われることも少なくないが、普通より少しいいってくらいだよ。それに対してティーナは最早神が作り出した完成された美としか言いようがないよな......」



ディルの言葉にフレインとアルカナがうんうんと頷いているがティーナは、それもまたお世辞と受け取った。



「あはは......お世辞はいいですよ」



その言葉に他の三人そして、今の会話を聞いていたと思われる人々全員の表情が一瞬にして固まった。



「お、おい........ティーナ本気で言ってないか?」


「うん......僕もあり得ないと思ったけど、今のはそうとしか言いようがないね......」


「まさか、無自覚なんて......一人で歩かせるのは危ない気がしてきたわ!というかよく今まで何もなかったわね......」


「とにかく、ティーナはなるべく一人で歩かせないよう気をつけよう。まぁ、強いから大丈夫だとは思うが......」


「「賛成」」



三人が何やら小さい声で話していたが、周りもざわざわしていて、よく聞き取れなかった。もしや、私が何か変なことでも言ったのだろうか?



「私何か変なこと言いましたか?」


「い、いやなんでもない」



私はまあ良いかと、食事を再開した。

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