西門の戦い
俺が駆けつけると西門には火矢が降り注いでいた。
スツーカの自警団の兵士達が必死になって凌いでいる。柱に刺さった火矢はすぐに手斧で叩き落とし水をかけて消火していく、慣れたものだった。
「火矢がくるぞー!!」
見張りが叫ぶと空に塊となって飛ぶ矢が見えた。放射状に弧を描いてこちらに飛んでくる。
俺は抜刀し、ロッタに当たりそうだった矢を払った。
ロッタは焦る様子もなく俺が払いのけて地面に転がる矢を見た。
「ロッタ、危険だ下がろう」
「たわけ、下がっては状況が見えぬわ。しっかり守らんか」
俺は思わず笑みがこぼれた。
「そうか……合点だ」
すぐ後に駆けつけた魔法使いたちが魔法で防壁を生成すると火矢の火は防壁で完全に防がれた。防壁が生成されるとすぐにケルナたちが飛び出していった。
「行くぞ」
ロッタは進み俺はロッタの横で周りを警戒する。
俺とロッタは街を囲む防護壁の上へと昇り外の様子を見る。
ケルナ達の戦っている相手を見て驚いた。
「なんだありゃ」
思わず口から出てしまったが、それにしても不気味なモノと戦っている。何というか灌木が人の形をしていて剣や槍、斧を持って襲ってきている。
「木人形じゃ」
「ま……まり……? あれも魔獣の類いなのか?」
「いや、あれは植物使いと呼ばれる魔法使いの得意な術での、そこいらの木や草を操って人の代わりに動かしておるのじゃ」
不思議な術があるものだな……
「そんなもの、どうやって倒せばいい?」
「簡単じゃ要は木じゃからの、へし折るか切り刻むかすればやがて動けんようになる。ほれ、ケルナ達がやっておるじゃろ」
俺はケルナ達の戦いに目をやった。なるほどケルナはぶん殴ってへし折ってるしユハはあの太刀を振り回して切り刻んでる。他の兵士達も同じようなものだ。
一体一体はそれほど強くもなさそうだが何にしても数が多い。これは助太刀に向かったほうが良いのだろうか?
「ロッタよ、俺たちはどうする?」
俺が尋ねるとロッタは眉間にシワを寄せて黙った。
その時、向こうの山肌から巨大な火柱が上がった。
「……なんだ?」
俺は振り返った。遠いがその熱はここまで伝わってきている。凄まじい火柱だ。
火柱が収まると木人形の動きは止まり、撤退していくのが見える。
「聞けいっ!」
空から男の声が聞こえた。この辺り全員の耳にしっかりと聞こえる大きな声だ。
「これよりこの街への一切の出入りを封鎖する。解除して欲しくばこれより派遣する伝令の要求に従え!」
声が消えると一体の木人形がこちらに向かって歩いてきた。




