スツーカの朝①
ケルナは平謝りに謝った。
「ほんとにごめんなさい、私ったらお二人はそういう仲だと勘違いしてしまって……ほんとにごめんなさい」
ケルナは俺とロッタを同じ部屋に泊まるように支度していたのだった。すぐに他の部屋を支度しようとするも昨夜の宴は盛り上がり、多くの者がケルナの家に泊まることになり部屋が足りなかった。
ロッタをベッドに寝かせ、俺は床に寝ることにして昨夜は泊まったのだが俺を床に寝かせたことでケルナは随分と気に病んでいるらしい。
「気にすることはない、この暖かい上等な敷き毛布だけでもいい寝心地だった」
ケルナは深々とお辞儀をして申し訳なさそうにしている。
「朝ご飯の支度が出来てますから、いつでも食卓へいらしてください」
ケルナは何度も頭を下げながら部屋を出て行った。
ならば腹も空いたことだし朝餉をいただくとしようか。俺はロッタに声をかける。
「ロッタも朝をいただくのだろう?」
「そうじゃな、いただくとしよう。じゃが儂は着替えてから行くでな、先に行っておくとよい」
ということなので俺は一足先に行くことにした。ドアに手をかけた俺をロッタが呼び止めた。
「どうした?」
ロッタは言うに事欠いて
「覗くでないぞ」
「……なっ!」
ロッタは俺を見てからからと笑う。いつものやつだった……俺は黙って部屋を出た。
食卓へ行くと賑やかだった。昨夜の面子は大方泊まったようで、これからまた宴会が始まりそうな賑やかさだ。
「あ、タケゾウさんはユハさんの隣へどうぞ」
台所で忙しそうにしているケルナに案内されてユハの隣の席に着いた。
「おはようございます、タケゾウの旦那。ケルナは朝飯も美味いんで期待しててください」
ユハは上機嫌で俺に挨拶をするので俺も
「ああ、おはよう」
と返す。ユハの手下もケルナを手伝っているらしく慌ただしく動き回っている。
「タケゾウ兄貴、すぐにあったかいのお持ちしますんで!」
ユハたちにはすっかり旦那とか兄貴とか呼ばれてしまっている、どう見ても俺より年上だろうに。
すぐに入れ替わるように少女が俺の元にやってきた。木の椀に入った汁を俺の前に置いた。
「タケゾウさん、どうぞ」
「おう、ありがとう」
そう言うと少女はにこっと笑った。
「おはよう~ルーチェ」
ユハのおどけた挨拶に少女は笑いながら答える。
「おはよーユハ」
「カペラはどうしてるんだ?」
「カペラはケルナの手伝いしてるよ」
「そうかあ、偉いな。ちゃんと手洗えよ」
「洗ってるもん」
そう言ってルーチェは台所に戻っていった。
こんな子供にも懐かれてるとは、ユハの言うここでまっとうにやっている、は嘘ではないのだと俺は感じた。
食卓にずらりと並んだざっと二十人位か、その列にロッタは遅れてやってきて俺の隣に座る。
「全員揃いましたか?」
バタバタとケルナがやってきて席に着く。
「ではお祈りをしましょう、今日はユハさんで」
「なんだ! 俺か?」
皆が手を合わせて目を閉じる。俺もなんとなく真似をした、要するに『いただきます』なのだろう。
ケルナに指名されたユハは祈りの言葉を捧げ、神への感謝を謳った。




