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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第三章 コリーンのイセッタ婆さん
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エミリアとペンドラゴンの亡霊⑧

 オスカーは皆を集めて攻撃の主旨を説明した。

「ヴァルター、負担が大きくて悪いけど大丈夫か?」

「大丈夫だ、まだやれる」

 ヴァルターは多少の強がりもあるだろうが笑って答えた。

「みんなも感じてるとは思うがあいつはかなりやばそうだ、動きの鈍い今のうちに力一杯の攻撃をぶつけよう……で、エルマはまた俺と合体技だ」

 エルマは頷いた。

「よし、じゃあ配置についてくれ。合図したら一気にやるぞ」

 オスカーの指示に皆それぞれに返事をしてペンドラゴンの亡霊を取り囲むように高度はやや低めで配置についた。

 オスカーは手を高く挙げた。

 合図を見た皆が詠唱を始める。

 わたしはみんなよりも発動が早いのでみんなの発動を見てから合わせよう。

 みんなの詠唱が終わるのを確認するとオスカーは手を振り下ろす、それに合わせて一斉に魔法が発動する。

 わたしは皆の発動に機を合わせて杖を振るった。

 ペンドラゴンの亡霊の周囲から炎術、水術、そして風術と炎術の併せ技、そしてわたしの雷術魔法が発動する。皆それぞれの力一杯の魔法攻撃だ。

 ペンドラゴンの亡霊はうなり声を上げ剣を構えた。

 周囲から放たれた魔法はその構えた剣へと吸い込まれていく。そして剣の刀身が光ると何事も無かったかのように静寂が訪れる。

 ペンドラゴンの亡霊は喉を鳴らすような音を立てて立ちすくんでいた。

 わたしたちは皆言葉もなく再びペンドラゴンの亡霊をただ見つめていた。

 何も起こらなかった……たしかに皆のありったけの力を注いだ魔法で攻撃をしかけたのに何も起こらなかった。その事実をすぐには受け入れることが出来なかった。

「あれえ? もう始めちゃったのお?」

 間の抜けた声の主はロジータだった。

「ウルスラ呼んできたよ? それからタケゾーさんも」

 ロジータを見ると後ろにタケゾーさんを乗せていた。

「……あれが、ペンドラゴンの亡霊……?」

 ウルスラは不安気に訊ねた。

「そうだ、あいつがペンドラゴンの亡霊だ。攻撃が効かないんだ、ウルスラすぐにあいつの動きを止めてくれ!」

 オスカーが叫ぶとウルスラは頷き詠唱を始めた。ペンドラゴンの亡霊はいまだ動きはぎこちなく、だが少しずつ覚醒しているようにも見えた。

 ウルスラは詠唱を終えると杖をペンドラゴンの亡霊に向けて振り下ろす。

 しかし再び剣が光り、何も起こらなかった。

「……え?」

 ウルスラは困惑するが再び詠唱を始め、杖を振り下ろした。

「なんで?……効かない!」

 ウルスラの魔法もあの剣に吸い込まれているようだ。

 ペンドラゴンの亡霊は唸り声のような奇妙な音を立て始めた。そしてひと際大きな声で吠えると持っていた剣をウルスラ目掛けて突き出した。

 剣の先からは衝撃波のような塊がウルスラ目掛け飛んでいく。それは素早く、ウルスラは回避する間も無かった。

 衝撃波がウルスラを貫くかという刹那、タケゾーの剣が衝撃波を叩き落す。

 ロジータのホウキから飛び移ってきたタケゾーはウルスラのホウキにつかまったがその重さに耐えられず落下を始める。

「うわっ……とっ、おととととと……」

 ウルスラは慌てながらもなんとか体勢を整え持ち直した。

「ウルスラ、君は戻れ。残念だが魔法が効かない以上出番はない」

 タケゾーに言われウルスラは伏目がちに小さく頷いた。

「エミリア! 俺をそっちへ乗せてくれ」

「はいっ!」

 わたしはすぐにタケゾーさんの元にホウキを着けた。

 タケゾーさんは飛び下りてきたので着地の機に合わせてホウキを操って落っこちないようにした。

「エミリア、ウルスラの魔法が効かない場合の手筈は聞いているのだろう?」

「……え? あ、はい」

 ウルスラの魔法が効果無かった場合は即時撤退……それが事前の取り決めだった。

「オスカーはいるか?」

 タケゾーに呼ばれたオスカーは慌てて返事をする。

「あ、はい。僕です」

「撤退だ、あの高台まで校長のイセッタ殿やロッタ、教員も皆集まっている」

 オスカーは頷き返事をする。

「分かりました、すぐに撤退します」

 オスカーは叫んで皆に指示を伝える。

「聞いたな、みんな。高台まで撤退する」

 高台へと引き上げる皆の背中をわたしも追った。

 振り返るとペンドラゴンの亡霊がこちらをずっと見つめていた。

 魔法が効かない……わたし達はどうすればあいつを倒すことができるんだろう……

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