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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第三章 コリーンのイセッタ婆さん
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エミリアとペンドラゴンの亡霊⑥

 オスカーやロジータの炎術魔法は女王蜂の表面すら焼くことは出来ずクラーラの放った氷の刃も頭殻で弾かれてしまった。

 ヴァルターの魔法がかろうじて効いているようだがそれも効果は弱い。まともに効いていれば体中の水分が沸騰していてもおかしくない。苦しそうには見えるが耐えられないというほどでもなさそうだ。

 魔獣もこれほどの大物になると魔法攻撃に対する耐性も強く、わたし達みたいなひよっこが束になってもなかなか倒す事は出来ない。

 こういう相手には物理攻撃の方が期待出来る。ホルニッセの外郭は固いが体の強度以上の防御力はない。クラーラの氷撃魔法で体の柔らかい部分……羽の付け根や足の付け根のような柔らかい部分であれば貫けるかも知れない。

 ……と、いうようなことをオスカーからみんなに伝えてくれるといいんだけど……オスカーは自分の魔法が通じないことで動揺してる感じでさらに攻撃を続けようとしてる。

「オスカー!」

 オスカーは詠唱を中断してわたしを見た。

「なんだよ? エミリア」

「ホルニッセの弱点てどこだっけ?」

「はあ? そんなのお前、関節の……」

 どうやらオスカーも気付いたみたい、わたしの顔を見てかっこつけて笑ってる。

「クラーラ! 弱点を突いてあいつを串刺しにしてやろうぜ、俺たちであいつの動きを止める。エミリア! 協力してくれ」

 偉そうに言ってくれるじゃん。わたしは親指を立てて答えた。

 オスカーは続けて指示を出していく。

「ヴァルターをそのまま攻撃を続行、エルマは待機、それからロジータ」

「えっ? わたし?」

 ロジータは驚いたように答える。

「ロジータはウルスラを呼んでくれ、すぐに出番になる」

「了解!」

 そう言ってロジータはウルスラを呼ぶためにタケゾーさんのいる高台へと飛んでいった。煙弾上げればいいのに……まあこっちくるまで護衛してあげたほうがいいかも知れないからいっか。

 ウルスラはこの討伐での秘密兵器っていうかウルスラの魔法頼みのところがある。

 ウルスラの魔法はわたし達の魔法とは異質なもので魔法と言うよりも呪いに近い効果がある。自身を守ることの出来るような魔法は使えないが相手の動きを封じるとか能力を使えなくするとかの状態異常効果の高い魔法が得意だ。

 相手が難敵だった場合でもウルスラの魔法があればわたしたちでも戦えるだろうということで今回の討伐に参加が決まった。

 女王蜂の周りに残ったホルニッセたちが興奮してこちらに襲いかかってくる。

 オスカーとエルマが協力技で落としていく。わたしは電撃で応戦する、なんだかいつの間にか当たり前のように戦えるようになってきてて少し楽しかったりもする。

 クラーラが詠唱し氷撃魔法の準備に入った。クラーラの氷撃魔法で目標にぶつけられるのは氷そのもので物理攻撃と変わらない、魔法で氷の精製を行いその氷を誘導し相手にぶつけることが氷撃魔法だ。

 あの女王蜂の固い外郭を貫くには重い重い氷塊が必要だ、クラーラは長い詠唱で周囲から氷塊の元となる水分を集めていく。

 幸いここは森の中で空気中から僅かずつ集めなくとも下に広がる木々から大量の水分が期待出来る。

 襲いかかってくるホルニッセの相手をしながら女王蜂にも攻撃を加えなるべく動きを止めておくよう努めた。

 ヴァルターが一人効果的な攻撃を加え続けるが、女王蜂の体の温度は魔法耐性のせいかある程度以上には上げられないようで苦戦している。あの巨大な体に魔法をかけ続けるなんて初めての経験だろうし女王蜂も苦しそうだがヴァルターも見ていて疲労が激しいことが分かる。

 ここでわたしに出来ることはなんだろう? そんな問いを自分に投げかけながら襲いかかるホルニッセを始末していく。

 クラーラが氷塊の精製を終えた、というよりもこれ以上重い氷塊は女王蜂にぶつけることが出来ないということか。

「オスカー、準備出来たよ!」

 クラーラが叫んだ。

 オスカーは全員の顔を確認して声を張って言った。

「攻撃開始!」

 女王蜂は危険を察知したのかヴァルターの術が効いた状態のままで歩き出そうとする。

 わたしは思い切り強力な電撃魔法を食らわせてやる。

「ブリツリヒト!!」

 女王蜂は痙攣するように立ち止まった。

 先端を鋭利に尖らせた巨大な氷塊が女王蜂の頭上に迫る。

「やれ!! クラーラ!」

 オスカーが叫ぶとクラーラは杖を思い切り振り下ろした。

「食らえ!! ホルニッセ!」

 一気に落下した氷塊の先端が羽の付け根近くを貫いた。胸郭を砕きその重さに耐えられず女王蜂はその場に倒れて苦しそうに足をばたつかせる。

「やった!」

 思わずみんな揃って声を上げた。

「まだだ!」

 オスカーが叫んだ。そう、まだだ。

 ヴァルターが再度詠唱を始めた、随分魔力を消耗しているだろうにもう一度魔法をかけ直した。

 クラーラの放った氷塊はあっというまに溶け煮えたぎる。

 煮えたぎる水が砕けた胸郭の隙間から流れ込んでいく。女王蜂は悲鳴のような声を上げ咥えていた鎧人形を落とした。

 この機に全員が女王蜂に魔法を放つ、とどめのつもりで皆力一杯の魔法を放った。

 外殻に穴が開いたせいか魔法耐性がかなり低くなったらしい、こんどの攻撃は面白いように効果が高かった。

 エルマの放った旋風がオスカーの炎術を巻き込み女王蜂の外殻を炙る、今度はその羽根を焼き二度とは飛べぬようになった。

 わたしはもう一度、力一杯の電撃を食らわせてやった。

 蒼い閃光が貫いた瞬間、びくんと跳ねたのを最期に眼光が失われていき女王蜂は動かなくなった。

 骸となった女王蜂の下で鎧人形はつたない操り人形のように蠢いていた。

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