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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第三章 コリーンのイセッタ婆さん
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エミリアの初陣③

 雷術系の攻撃魔法での死亡原因は全身の火傷、脳や心臓への過度な雷術負荷、場合によっては大きな裂傷にもよる。

 わたしは焦らず高度を保ってヴェネラケルータが死んでいるのかを確認する。大きな魔法を行使した後だというのに妙に気分が落ち着いているのが我ながらに不思議だったけど、本来の役目である標的を狩場まで追い立てることを知りながらいきなり倒そうとした罪悪感のせいかもしれないな、とこれまた妙に冷静に分析してみたりもする。

 いまのところヴェネラケルータは仰向けに倒れたまま動かない。でも表面に大きな傷は見られず動かないとはいっても倒せた実感がいまひとつ沸かない。

 わたしはロジータに向いて叫んだ。

「ロジータ! 攻撃してみて!」

「ええ? 倒したんじゃないの?」

「わたしの魔法で倒せたと思う?」

「わかった!」

 ……うん、即答か。まあ分かってたけどね。

 ロジータの魔法の詠唱は長い、というか遅い。

 ふとヴェネラケルータを見ると仰向けに倒れていたはずが四本足をしっかりと地に着けていた。よく見ると動きはまだ鈍そうだ。

 倒せてはいなかったか。

 ロジータはまだ詠唱中だ。

「ロジータ、奴が起き上がってる! 気を付けて!」

 ロジータは頷いて詠唱を続ける。

「ハイスランツェ!」

 ロジータの周囲に小さな炎が沸き起こり渦を巻いて三本の槍を成し、次々と発射されていく。

 ロジータの攻撃魔法の多くは目標が動いても追尾していくのでとても命中率が高い。炎の槍もすべてがヴェネラケルータに命中した。

 威力が低いので奴にしてみれば熱湯でもかけられたくらいに思っているのかも知れないが、悲鳴を上げるとこちらを睨んできた。

 こちらはやつの手の届かない高いところにいる。不利を悟ったかよろよろと逃げ出していった。

 ここからは予定通り、わたしの力ではまだ魔獣を倒せない。わたしはカバンの中から発煙弾を取り出して色を確認する。

 発煙弾に付けられた印が緑色であることを確認して発射筒に詰める。それを上に向けて発射すると緑色の煙を引きながら高く上がった。

 これを中継係の生徒が見れば予定通りヴェネラケルータを追い立てていることを狩り場で待機する攻撃部隊に報せるだろう。

 わたしとロジータは攻撃魔法で追い立てて狩り場へと誘導していった。

 やはり最初に食らったわたしの魔法がこたえたのか逃げる足取りが弱々しく移動が遅い。おかげで随分時間がかかってしまったが昼前には狩り場へと誘導することができ、攻撃部隊主力の一人クラーラの水術魔法によって止めを刺す事が出来た。

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