表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第三章 コリーンのイセッタ婆さん
40/305

コリーンのイセッタ婆さん⑪

 夜明け前、校庭に生徒たちは集まっていた。

 この魔法使いの学校で成績上位の精鋭七名、その中には顔を見た覚えのある程度の者が大半であるがよく見知った顔もある、エミリアだ。

 いつもは穏やかな優しい顔のエミリアだがさすがに緊張しているのかいつもよりも引き締まって見える。

 校長のイセッタ殿が壇上に上がると、一人の生徒が号令をかける。

「全員ッ! 注ぅ目っ!」

 イセッタ殿は黙って全員の顔を見ると大きく息を吸って話し始めた。

「本日これより魔獣の討伐に向かう。攻撃部隊には選抜された七名に当たってもらうが今回選抜されなかった皆にも力量に応じて役目がある、本校の生徒全員で当たる討伐作戦であることを忘れるな」

「はい!」

 生徒たち全員が返事をする。

「今回君たちが倒す魔獣は全部で三頭、今日は北の森の大トカゲ、ヴェネラケルータを倒す。入念な調査により皆に渡した地図に印のある範囲に巣があることは突き止めた。やつらはこの時期日が昇ると日向で体温を上げるために日光浴をする、ここをエミリア班が襲撃して追い立て所定の狩場におびき出し攻撃部隊全員でとどめを刺す。空から素早く見つけ出し叩く電撃作戦だ」

「はい!」

「そして今回はわたしの旧友であるローテアウゼンとその護衛の剣士タケゾウ氏にも後方支援で参加してもらっている」

 生徒たちは一斉に俺とロッタに目を向ける。

「よろしくお願いします!」

 俺は思わず会釈をして応えた。

「では各自装備の再点検の後に再び持ち場に集合! 解散!」

「はい!」

 エミリアが俺のところに駆けてきた。

「タケゾーさん、わたし初陣で一番槍なんですよ!」

「ああ聞いた。しかと努めろよ」

「はいっ」

 エミリアはうれしそうに返事をするとロッタに去り際会釈をしてまた駆けていった。

 ロッタの視線をふと感じ、ロッタを見るとじとりとした目で俺を見ていた。

「どうした?」

 俺が尋ねるとロッタは去っていったエミリアの方へ視線をやって答えた。

「……心配か?」

「ん? そりゃあ心配だが誰にでも初陣はある。それにあの御仁やロッタが鍛え選んだのだろう? きっと努めを果たすさ」

 ロッタは大きくため息をついた。

「……やれやれ、お前というやつは……変わらんのう……」

「……は?……どういうことだ?」

「なんでもないわ……ほれ、わしらも支度をせんと置いて行かれるぞ」

「お……おう」

 俺たちはこの数日に及ぶ魔獣討伐の遠征を後方から支援する役目を与えられた。

 フリューゲを繋いだ馬車ごと魔法使い十人がかりで浮かせて前線まで運んでくれるという。これを俺は密かに楽しみにしていた。

 ロッタのほかここの生徒で救援にあたる魔法使いを二人馬車に乗せて支度を整える。

 馬車を飛ばす魔法使いたちが仕掛けの支度を整えるの待っているとイセッタ殿の号令が聞こえた。

「攻撃部隊、出発!」

 号令と共に七人の精鋭たちが箒に跨り高く舞い上がっていった。

「私たちも行きますよ」

「おう、やってくれ」

 俺が返事をすると十人の魔法使い達が馬車を空へと引き上げてくれる。俺は動揺するフリューゲをなでる。

「よしよしいい子だ、怖くないぞ、よしよし」

 朝日の輝く空に浮かぶ七人の精鋭たちの背中を見ながら、俺たちの馬車と後方の支援の魔法使いたちが追う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ