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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第三章 コリーンのイセッタ婆さん
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コリーンのイセッタ婆さん④

 先輩は勝ち誇るように高笑い、ロッタはよほど口惜しいのか苦い顔のままだった。

「……して、ロズが連れ歩いている若い男は何者なのだ?」

 ロッタは自分を落ち着かせるように深呼吸をしてから答えた。

「儂の里帰りするまでの護衛を頼んでおるヒノモトの剣士じゃ」

「ほおーう……ヒノモトの……ねえ」

 そう言って俺を見るので俺は軽く頭をさげた。

「俺はヒノモトから来た剣士、タケゾウという」

「そうか、よろしくなタケゾウくん」

 ……と、俺を見た後で先輩はニヤニヤと笑いながらロッタの顔を覗き込んだ。

「……で? ロズちゃんはこんな若い男を郷へ連れ帰ってどうしようというんだい?」

「……な、何もせんわ! ただの護衛じゃと言うておろうが」

「ほおーう、ロズちゃんが、護衛を……ねえ……」

 なにやらロッタの旗色が悪いようだ。見ている分には面白いのだがあらぬ疑いをかけられているようなので護衛らしく毅然と援護をすることにした。

「先輩殿、俺はロッタの護衛で報酬に魔剣を貰う事になっている。ロッタの言うことに相違はない」

 なにやら先輩は呆れたような顔で俺を見た。

「……あ、ああ……そうなのか」

 そう言うとロッタの肩を叩いた。

「……お前も大変だな」

「はあ? なにがじゃ?」

 先輩は高笑いしながら何度もロッタの肩を叩いた。

「ジルバ、こういう訳なんでもうよいぞ。ご苦労じゃったな」

「では失礼します」

 ジルバは静かに頭を下げて戻っていった。

「で、ロズはすぐに発つのか?」

「いや、少し滞在する予定じゃ」

「そうか、ならばすることがなくて暇だろう? ちょっとわしの……」

「……あの」

 先輩の声を遮ったは先ほどの学生だった。

「もう僕、行ってもいいですか?」

「おお、オスカーか。すまんすまん、よし行っていいぞ」

「はい。では行きます」

 オスカーはさっきのエルマと違い危なげなく飛んでいった。

 オスカーを見送った先輩は一人頷いた。

「というわけでの、ロズよ! ここで魔法を教えてみんか? 教えるというのはのう中々にいいものだぞ?」

「リズ先輩よ、儂とて多くの弟子を取り育ててきておる。つい最近も一人名を付け送り出したばかりよ。のう? タケゾウよ」

 いきなり俺に振ってくるので驚いた。

「ん? おお、そうだな。オウカは優しくていい魔法使いになるだろう」

 俺の返答に満足したのかロッタはどうよ? とばかりに先輩を見た。

 先輩は少しいたずらな笑いを浮かべた。

「よし、ならば今ホウキ飛行の実習中の生徒を指導に行くぞ、ロズはそこにあるホウキを使え」

 そう言って壁にかけてあるホウキを指した。

「へ?」

「そら早う準備せんか」

 ロッタはため息をついてからホウキを手に取った。

「ロッタも行くのか?」

 俺はロッタに訊ねた。

「仕方あるまい、まあ基本は出来ておるようだしさほど手はかかるまい」

 ロッタが飛ぶのならどうにか俺も同行してみたい。さっき見たのもここの生徒だったのだろう、あれはさぞ気持ちよさそうだったからな。

「ロッタよ、俺も飛んでみたいのだが」

「……そうか…………?」

 どうやら俺の思いは伝わっていないらしくロッタは怪訝な顔で俺を見るだけだった。

「……その、気持ちよさそうだからな……俺も一緒に飛んでみたいんだが」

「…………はあ?」

「だから……その後ろに……一緒にだな……」

 やっとロッタも理解してくれたのか俺とホウキの間を何度も視線が往復する。そして何故かみるみる顔が赤くなっていく。

「な……な……な……なぜこの流れでそんなことを儂に言うか!」

 そこに先輩がぬっと現れる。

「ロズちゃん、いいじゃないか。乗せてやらんか」

「ダメじゃ! ダメダメ、ゼッタイダメ! タケゾウ、貴様はここで待っておれ」

 それだけ言うとロッタはホウキに腰かけ飛び出していってしまった。

「あらぁ、ごめんねタケゾウくん。男女での二人乗りには特別な意味があってね」

「なに? そうとは知らず無理な願いをしてしまったのか……大丈夫、俺はここで待つことにしよう」

 先輩はくすくすと意味ありげに笑い、ロッタを追って出て行った。

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