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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第八章 英雄
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決意と決心②

 タケゾウが宿屋に着くと建物は意外にもしっかりと建っているのが見えたので安心した。


 しかし馬車置き場や厩舎のある一階はあらゆる物が破壊され散乱していた。


 タケゾウは散乱した厩舎を覗き込んでみた。散乱した物の中に見覚えのある幌付きの馬車が見えた、さらに近付いてみると荷物入れにしていた箱の蓋が外れかかっている。


 タケゾウは馬車を調べるのは後回しにして厩舎のほうを見渡した。馬は一頭もいないが死骸も無ければ血痕も見当たらない。


 あちらこちらがひどく破損しているので魔獣が現われて暴れ回ったのは確かなようだが馬を跡形も無く丸飲みにするような魔獣は居なかったはずとタケゾウは考え外に出てみた。


 通りに出てタケゾウは考える。


「たしか来た時はこっちから来て……その先には共同の水場があったな……」


 誰かが馬を逃がしたのであればそこにいる可能性もある、そう考えたタケゾウは水場を目指して歩き出した。


 水場にはたくさんの馬が繋がれ水を飲んでいた。広場には怪我をした人がたくさん集められ何人もの魔法使いが治癒を行っているようだった。


 布をかけられ並べられているのはどうやら死んでしまった人の亡骸のようだ。おそらくはもっとたくさんの死者が出ているのは間違いない。


 馬を見ながら広場を歩いていると馬の(いなな)く声が聞こえた。


 その声が呼んでいるように聞こえたタケゾウは声の主を探した。


 すると数頭向こうに頭を振って声を上げる馬が見えた。間違いない、フリューゲだ。


 すぐにタケゾウは駆け寄った。


「無事だったかよしよし……ははは、そうかそうかよーしよし」


 フリューゲの鼻を撫でながら頭を抱いてやり再会を喜んだ。フリューゲも頭を擦り付けるようにして応える。


「お客様、ご無事でしたか」


 声をかけてきたのはタケゾウたちを城まで送った宿屋の者だった。


「おお、馬を逃がしてくれたのか……ありがとう」


 タケゾウがそう労うと宿の者は少し哀しそうな顔で


「しかし馬車が壊されてしまいました……」


 と頭を振った。


「構わないさ、俺はこいつが無事で安心した。だから気にすることはない」


 タケゾウはそう言って笑うとフリューゲを連れてもう一度宿屋に戻って部屋に置いていた服と着替え、金貨の入った袋を持ってロッタを迎えに城へと向かった。

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