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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第八章 英雄
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決意と決心①

 魔法使い達の計らいで夜は空いている宿舎の部屋と寝具を提供してもらい眠ることが出来た。


 質素だが朝食も食べさせてもらい、魔法使いたちに礼を言って宿舎を出た。


 宿舎は少し小高い場所にあり外に出ると辺りを見渡すことが出来る。


 あれほどの魔獣が押し寄せたというのに建物の損壊はそれほど多くない。


 むしろ一見するといつもと変わらぬ風景にすら見えてしまうのは外観に影響するほどの損傷を受けた建物が少ないせいだろう。


 魔獣は破壊衝動はなく、魔力を求めて人ばかりを襲ったせいだろうか。


 クロエ達戦乙女(ワルキューレ)によって滅ぼされた魔獣の骸は街のいたるところに転がっているが、すでに腐敗が進み分解が始まっていた。


 魔獣の身体は普通の獣とは違い死ぬと魔力の結合が失われ数時間で腐敗が始まり数日のうちには跡形も無くなる。


 悪臭もそれほど強くはなくて独特の鼻につんとくる臭いがある程度だった。


 だがそれでも放置は出来ないので、早くから生き残った街の住人達が骸を集めていた。


 タケゾウは破れてしまった服の代わりに街の服屋にあった服をわけてもらい、いつもとは違う服を着ていた。


「俺はフリューゲが気になるので宿屋を見に行ってきたいのだが、ロッタは何か用事があるか?」


 タケゾウがそう訊ねるとロッタは少し考えてから答える。


「儂は儂の家があったところを見てきたい」


「そうか、ならばそちらを先に行くとするか」


「いや……一人で構わない」


「しかしそれでは……」


「大丈夫じゃ」


 タケゾウはロッタの顔を見て、それ以上は言わずロッタ一人を行かせることにした。

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