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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第二章 漆黒の姉妹(レイヴェンシュワルツシュバイセン)
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漆黒の姉妹⑫

 右手にはクラヴィア、左手にはラークが見える。ラークの方はロッタが放つ矢を気にしているようで俺との間合いがやや離れ気味となっている。片方だけを狙うロッタは利口だ。

 俺はひとまずラークに一太刀を浴びせる、浅いが不意をつく形となり怯ませることができた。追撃はせず次の太刀はクラヴィアを狙う、首から肩にかけ袈裟に斬り胸を横一文字に斬る。

 すぐさまラークの反撃を受けるが半歩退くだけで交わす。すぐにロッタの放つ矢が首に二本立て続けに当たる。

 クラヴィアからは爪の連撃で襲われるがこれも剣で捌き、隙をついて一文字に斬りつける。

 固い羽毛に阻まれ致命の一撃をくらわすことは出来ないが、これだけ斬りつけていればかなり効いているはずだ、おまけにラークにはロッタの矢がかなり当たっている。

 クラヴィアにはさらに追撃に出る、首を突き、よろめきざまに繰り出した蹴りをかわすと首めがけ薙ぎ払う。しかしこれは嘴で叩き落された。

「いってえ……なかなかやるじゃねえか腹ペコの姉ちゃん」

 大カラスの体は解け、黒い羽毛の渦へと変わる。渦が消えると人の姿へと変わったクラヴィアが立っていた。

 純白の装束は血に染まりタケゾウから受けた傷は生々しく肌に刻まれていた。

「なかなかやるですって? この通り、随分傷めつけられてしまってるのよ、わたし」

 でかいから効いてないように感じてたが思いのほか……だったようだな。

「姉さま! 時間稼いでちょうだい!」

 人の姿となったラークが木立の奥に走っていくのが見えた。両腕には大きな鉤爪のついた手甲が装着されている。

「待てっ! きさまっ!」

 俺はラークを追おうとするがクラヴィアに呼び止められる。

「タケゾウ、待ちなさい。あなたの相手はこのわたしなのよ」

 クラヴィアが俺の名を呼んだことが意外であったがラークはロッタを直接狙ったに違いなかった。相手をしている暇はない。クラヴィアの両腕にも手甲鉤が装着されていた。

 俺はクラヴィアに斬りかかる。

 クラヴィアは手甲鉤で剣を受ける、それから互いに斬撃の応酬となった。人の姿となったクラヴィアの素早さはさらに早く感じるが、人の姿となると俺にとってはやりやすい。機会を合わせてクラヴィアの両腕を手甲鉤ごと剣で跳ね上げ、刃を返して峰で脇腹を思い切り打ち付け、屈みこんで無防備にさらされた首を峰で思い切り打ち付けるとクラヴィアはそのまま倒れた。

「くそっ、待ってろよ、ロッタ!」

 俺はラークの後を追った。

 木立の中は視界が効かない、耳を澄ますとかすかに藪をかき分ける音がする。とにかく音を追って俺は走る。

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