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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第二章 漆黒の姉妹(レイヴェンシュワルツシュバイセン)
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漆黒の姉妹⑩

 渓谷はこの旅での最初の難関となる峠越えの途中にある。ロッタによれば迂回する道もあるとのことだ。

 地図で確認してみても確かに迂回する道は存在するがかなりの大回りとなる上にここで大カラスとの対決を避けたとしてもいずれどこかでまた相対することとなるであろうことは明白である。ならばここで迂回するよりは勝負を挑む方がいいだろうということでロッタとも合意した。

 俺たちは今、渓谷を目指している。

 村では矢をたくさん購入してきた。村で売っていた矢は正直なところ狩猟で使う程度ならば十分だがロッタの腕前を存分に活かすには精度が低く遠距離での命中精度という面では今一つだった。

 しかし当面は制度が必要な時にはロッタの魔法によって紡がれる矢を使うことにして購入した矢を主に使うことにした。

 幸いにして今回の相手は大カラスだ、的が大きいことで精度の低さは我慢できる。

 戦うための用意は万全とはいかないが出来ることはやった。

 そして村で会った大カラスの片割れ、クラヴィアから僅かに情報が得られた。まず魔獣の中には人間の中に紛れても判別できないほどの容姿を持つ者がいることと怪しまれずに行動できるだけの知性があることが分かった。

 そして重要なことは奴は自らを『カイザーのしもべ』と言った。それ以上は言及しなかったが何者かに大カラスは従っていることが推測できる。

 ロッタにはカイザーと呼ばれるものについて心当たりはないと言うので詮索はひとまず後回しだ。

 もうすぐ馬車は渓谷に出る。いよいよ対決が迫ると思うと我知らず口をついてしまった言葉がこれだ。

「面白くなってきやがった」

 俺の隣に座っているロッタに聞こえてしまったのか俺の顔を見ると、ふっと笑った。


 木立を抜けると渓谷が見えた。少し前まで道のすぐ横を流れていた川が遥か下方に見える深い谷になった。

 辺りを見回すがカラスの姿は見えない、しかし殺気に満ちた視線は強く感じる。

 俺は馬車を停めて手綱を解き、馬を馬車から解放してから尻を叩き森へと逃がした。

 対岸の崖の上にある木立が激しく揺れる。木立の切れ間から大カラスの頭が二つ現れた。

 カラスはタケゾウたちを見ると大きな声で鳴いた。

「タケゾウ! いくぞ」

 ロッタは矢の詰まった矢筒を担いで木立の奥へと走った。

「おう!」

 俺は抜刀し、木立を抜けた開けた道の上に走る。

 カラスどもは谷へ飛び込むように木立から抜けると、羽ばたき空へと舞い上がる。空で反転し一羽が俺に向かって羽を振るった。

 無数の羽が手裏剣のように飛んでくるのが見えた。

 避けきれねえ、足元にきたやつは低く跳んでかわし上にきたやつは剣で弾く。

 今度は空中からこちらに突進してくる、俺は足を止めて剣を構える。

 ギリギリを掠めて爪で攻撃してくるが、横へ飛び退いてかわした。

 次の瞬間、俺は後ろから突き飛ばされた。

「うぐっ」

 振り返ると大カラスが降り立っている。カラスは爪を上げて振り下ろす、俺は地面を転がり爪を避けると立ち上がり剣を構える。カラスは何度も爪の攻撃を繰り出してきた。

 剣で弾きながら爪をかわし、足を斬ろうと剣を振るうと(くちばし)ではじかれた。

 このやろう、デカいくせに動きが軽快で早い。なかなかに手強いやつだ。

 一旦距離を取ると、俺の後ろにももう一匹降り立った。

 こいつはやばいな。

 二匹は同時にかかってきた、今度は嘴で俺を突いてくる。剣では捌ききれず俺は地面を転がりながら攻撃をかわす。二匹の嘴は次々と俺を襲う。

 突然に俺の後ろにいた大カラスが悲鳴のような鳴き声をあげた。見ると肩のあたりに矢が刺さっている。ロッタの放った矢だ。

 ロッタが援護を始めてくれたなら、そろそろ反撃といくか。

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