表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第六章 黒金の城(シュタールシュロス)
211/305

皇帝(カイザー)⑥

 何が起きたか理解できないままタケゾウは激痛にむせかえる。


「ガハッ……ぐっ……ふふぅ……」


 なんだ? なにが起きた? 俺は身体を起こしてロッタの姿を探す。


 ロッタが振り返り俺のほうを見ているのが見えた、ロッタは無事か。


 よろよろとタケゾウは立ち上がり皇帝に向かって歩き出す。


「皇帝よ、我らを帰す気はないということか?」


 皇帝は返答をせずただタケゾウを静かに睨み続ける。


 ロッタは悲痛な叫びでタケゾウを止めようとした。


「よせ、タケゾウ!」


 ロッタは手の平を掲げタケゾウの前に魔法の盾を展開する。しかし同時に盾は砕け散り皇帝は意外そうな顔でロッタを見た。


 皇帝はにやりと微笑むとロッタに語りかける。


「ほう……守ったな……?」


 ロッタは苦しげに叫ぶ。


「頼む、その男だけは殺さんでくれっ……頼む」


 ロッタの懇願を聞くと皇帝は口許をさらに歪ませた。そして人差し指を立て、ゆっくりとタケゾウを指す。


「やめろっ! やめてくれ!」


 ロッタは再び魔法の盾をタケゾウの前に展開する、しかし不完全なものしか展開されずすぐに吹き飛ばされてしまう。


 タケゾウはただならぬ殺気を感じ、ついに抜刀した。


「いかん! タケゾウ!」


 ロッタの叫びも空しく、タケゾウの剣は抜いた瞬間に砕け散ってしまう。さらに次の瞬間タケゾウは身体ごと吹き飛ばされて床に叩きつけられる。


 皇帝はタケゾウを弄ぶように何度も吹き飛ばした。


 そんなタケゾウを見ることの出来ないロッタは顔を伏せ、床に頭を擦りつけながら泣くような声で懇願を続ける。


「頼む……その男だけは……どうか……殺さんでくれ……どうか……どうか……儂なら何でも言うことを聞く……じゃから、頼む……」


 タケゾウが動かなくなるまで弄んだ皇帝は目を細め薄ら笑いでロッタを見つめる。


「ふむ……利用価値はあるようだね……」


 タケゾウは薄れいく意識の中で、「后になれ」と言う皇帝に承諾の返事をするロッタの声を聞いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ