表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第六章 黒金の城(シュタールシュロス)
208/305

皇帝(カイザー)③

 皇帝はロッタを蔑むような笑みを浮かべて玉座から見下ろしている。


「よいザマだな……ローテアウゼン、今さら戻ってきて何が目的だ? 首領になろうというのか?」


「否……そうでは……儂はただ…………」


 言いかけたロッタが俺を見た。苦しそうな顔をしていた。


 なんだ……? なぜ俺を見た? どういうことだ?


 しばらくの間静寂が訪れた。誰も何も発しない、ただ重い空気だけがのしかかってくるようだった。


 静寂を破ったのは皇帝だった。


「ローテアウゼン、君は僕の憧れだったよ。羨ましかったんだ、君の才能が。それもこの長い時をかけてやっと自覚できたのだがね…………僕はずっと北の出身で、小さな頃から魔法が得意だったよ……誰よりも上手く出来た。神童、天才あらゆる賞賛の的だったが我が街には時計塔への伝手がなかった。そこでここの魔法研究所付属魔法学校へとやってきたんだが君はいつも僕の一歩いや二歩も三歩も先を行っていたね。忌々しかった。


 あらゆる賞賛は僕のものだったのにここでは全て君だ。やはり魔法使いは女でなければと僕よりも魔法の使えないやつらから慰められる有様だ。


 だが君は突然消えた。ものすごい騒ぎだったよ、なにせ首領家の天才ご令嬢がいなくなったのだからね。


 捜索隊も組織された、もちろん僕も入っていたさ。君の捜索は何年続いたかな……」


 皇帝の話を聞きながらロッタは震えていた。ロッタにとっては過去の過ち、そして知らなかったその後の話ということか。


「……ある日、とんでもない重力震、魔力震が観測された。それから数日の間、空から流れ星が降り注いだ。


 とんでもない騒ぎになったよ、世界の終わりだと皆が泣き叫んでいた。世界が滅ぶのかと僕も心配していたのだけどすぐに収まって安心したよ、君の仕業だろうと僕はすぐに分かったけどね。


 それから少し経ってから君がブルーノに居ることを捜索隊が発見した。何度も使者を送ったけど君は帰還を拒み続けた…………それが今になって帰ってくるとはね……」


 皇帝は大きく溜息を吐いた。


 そしてロッタをまじまじと眺めるとほくそ笑む。


「大魔法使いローテアウゼンよ、我が(きさき)となれ」


 皇帝は立ち上がりそう宣言した。


 ロッタは驚きのあまりに皇帝の顔を見上げて後ずさる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ