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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第六章 黒金の城(シュタールシュロス)
202/305

城塞都市ニールブリンク①

 関所をくぐると中は呆れるほどの広さだった。


 街を囲む城壁は高く端が見えないほどに続いている。


 今まで見てきた街とはどこかが違う、そんな違和感を覚えたがその正体はすぐに分かった。歩道の立体的な交差が多く建物の高いところに通路がいくつもある。


 今、馬車が通っている道路も少し先で登っていく道と分岐するようになっている。


 城壁の近くは人通りもほとんどなかったが中心部に近付くにつれ人通りが増えてくる。


「ロッタよ、なぜあんな高いところに通路があるのだ?」


 ロッタはちらと上を見てから答える。


「ここは魔法使いの里じゃからの、箒で飛んで移動する者も多い。いったん地上へ降りてからまた登るよりもはじめから高いところから入ったほうが楽じゃなからな……そういうところは変わってはおらんの」


「……そうか」


 人通りが増えてくると箒に跨がって飛んで行く魔法使いの姿もちらほらと見るようになった。


「……さて……街には入ったがどこへ行けばいいのだ? ロッタの家へ行ってみるか……?」


 そう言ってロッタを見ると少し考え込むように黙った。


「……儂の家は……城の中じゃ……今日はもうこんな時間じゃから、今日の所はどこか宿をとることにして、明日の朝になってから謁見の申請に行ってみるとしよう」


「宿屋はこのまま進めばいいのか?」


「うむ、関所から入ってきた道じゃからの、このまま進めばなんぞあるじゃろう」


 言われるまま俺は馬車を街の中心へと向かって走らせる。街はどんどん賑やかになり人の往来も多くなっていく。


 街の上に街が重なるような構造になっていて人がとにかく多い。上を見上げると棚のような構造で上にも街が伸びている。なんという巨大な街なのだろうか。


 そして魔法使いが多い。飛んで移動する魔法使いも多いがロッタのような格好をした魔法使いで道路を歩いている者も多く、老若男女問わずとにかく人が多かった。


 ロッタは久しぶりの故郷の変化に驚いているのか、往来の人々を凝視していた。


 もう少し進むと宿場街があった。そこで適当な宿を決めると馬車を停めてフリューゲを預ける。


 宿で謁見の申請について教えてもらい、ロッタの薦める料理を食べに出かけた。


 ロッタはいつもと変わらないようにも見えたがどこか元気のない……いや、いつもと変わらぬ風を装っている……そんな印象を受けた。

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