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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第五章 黒い森のクロエ
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運命の三女神①

 クロエは剣先を俺の胸を刺すように向けた。そして吹き出すようにまたくすくすと笑う。


「タケゾーさん、あなたは本当に不思議な方ですね……その魂は本当に……へぴいっ!!」


 クロエの話し声が唐突に頓狂な悲鳴に変わる、その瞬間動かなかった身体が動くようになった。


 クロエの頭には槍のように柄の長い棒斧(ハルバート)の刃先が乗っていた。刃が頭に刺さらぬよう横倒しにはされているが……これで叩かれたのだろうか……?


 クロエは剣を放り投げ頭を抱えてうずくまる。


「やめないかスクルディア……こんな品のない方法で死せる戦士(エインヘリヤル)を集めたりするんじゃない」


 そう言ったのはクロエの頭を殴った棒斧(ハルバート)の持ち主である。


 クロエの仲間だろうか、同じような鎧と兜を纏っている。よくよく見ればクロエの後ろにはさらにもう一人が立っている。


 クロエがよろよろと頭を押さえながら立ち上がる。そして二人の姿を認めると喚き散らすように叫んだ。


「ちょっと! 姉様達! いきなり後ろからそんなもので頭を叩くなんて、人間でしたら大怪我ですのよ!」


 クロエに凄まれてもさして気にする風でも無く答える。


「お前は少々じゃ死にはせんだろう」


 そう言われてクロエはますます激昂した。


「舌でも噛んだらどうしますのっ!」


「そりゃあ……プッ、ぎゃはははははははははははは……そりゃあ、痛いだろうなあ、ぎゃははははは」


 まるでクロエを子供扱いで爆笑を始めてしまう。


「なあ? 姉さん聞いたか? 舌を噛むとか? ぎゃはははははは」


 姉さんと言われたもう一人も思わず吹き出してしまう。


「……プッ……ククッ……止めないか、お前もスクルディアをからかうんじゃない、クククッ……プッ」


 クロエは顔を真っ赤にして睨んでいる。こんな顔もするやつだったのだな。


 姉さんと呼ばれた女は何とか笑いを飲み込むと俺の前に立った。


「すまないな……タケゾーさん。妹が失礼をした」


 俺は事態が飲み込めず、見知らぬ人外の女に謝罪をされても呆気に取られるばかりだ。だがそんな俺に構わず姉さんと呼ばれた女は謝罪を続ける。


「……それからそちらの連れの方……魔法使いのようだが…………ん?」


 姉さんと呼ばれた女はロッタを見て首を傾げる。顎に手を当てて何かを考え込んでいるようだ。


「失礼……もしや貴女は大魔法使いローテアウゼン殿か?」


 ロッタと俺は顔を見合わせる。


「いかにも……儂はローテアウゼンじゃが……?」

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