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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第五章 黒い森のクロエ
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ロッタの安堵①

 俺は祭壇奥の橋を渡り、辺りをよく探せば下へと下りる階段があった。階段は地下の部屋へと続いているようだった。


 ゆっくりと階段を下ると突然視界に靄がかかり気が付くと辺りは広い草原となった。


「なんだこりゃ、中は随分と広いのだな……」


 ふと見ればロッタの姿が見えた。


 いつもの弓を構え矢を番えていた。その矢が狙う先には見知らぬ女が立っている。


 状況から考えるにそれはロッタの敵に違いない。俺は即座に抜刀しロッタの前に立ち塞がる。


「無事か……?」


 そう言って振り返るとロッタの顔はほんの一瞬泣きそうに見えたのだが気のせいだったかすぐにこう言った。


「無事に決まっておろう……何をしに来た」


 ロッタがこんなところで泣くはずもなく、いつも通りの受けごたえに我知らずふっと笑ってしまう。


「大丈夫とは思ったのだがな、ブルナークの奴が行けと言うものでな……参じたというわけだ」


 俺が応えるとロッタも口角を上げて笑ってみせると女を睨んだ。


 女のほうは武器を持っていない……魔法使いということか? ロッタは矢で狙っておきながら射ることはせず睨み合ったまま……。


 何か理由があるということか。


「ロッタよ、あの女を斬ればいいのか?」


「とどめは儂がさす必要がある……そして、奴は雷術使いじゃ。早いぞ」


 雷術魔法……エミリアと同じか……要するに雷ってことか。なんてことを考えていると女が喋った。


「あら、活きの良さそうな騎士さまね。その剣で私を斬るつもりかしら……?」


 俺はロッタを振り返って見る。


 ロッタは黙って頷く……やれやれ、落雷を避ける奴なんて見たことも聞いたこともないが……


 息を整えて俺は剣を下段に構えたままで魔法使いとの距離を詰める。はじめはゆっくりと歩き出す、少しずつ歩を早め間合いが近づくと一気に駆け寄る。


 魔法使いは拳に息を吹き込むように詠唱を始める。雷術魔法は何度も見たが発動と同時に的を射抜く電光石火の魔法だった。


 その発動の機を逃すまいと魔法使いを注視したまま斬りかかる。


 詠唱を終えた魔法使いは拳を俺に向けようと動き出す。……俺の剣はまだ届かない。


 魔法使いの手の平が俺に向けて開かれる……その刹那、俺は剣を地面に突き立てて身を屈める。


 次の瞬間凄まじい閃光と共に雷鳴が響く。


 稲妻は吸い込まれるように俺の剣に当たり俺は難を逃れることが出来た。


 魔法使いを見ると胸を射抜かれていた。

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