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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第五章 黒い森のクロエ
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騎士の誇り

 タケゾウの剣技が冴える。


 繰り返し生き返るエレンスージを生き返るたびに瞬殺していく。かれこれもう二十回以上は繰り返している。


 エレンスージが生き返るのと同時に吐き出した鎧騎士も一緒に生き返るしエレンスージを殺すと鎧騎士もまた死んだ。


 エレンスージの何度目かの復活を待つ間にブルナークはタケゾウに尋ねた。


「タケゾー、あの魔法使いは本当に一人でいいのか?」


「大丈夫だ、ロッタは強い。必ず戻ってくる」


「そうじゃなくてだな……信じるのも大事だが、もっと大事なことがあるのではないか?」


 俺は思わず口ごもる。


 エレンスージの斬り割かれた首の傷が黒い靄に包まれ修復されていく。体中にある細かな切り傷も次々と修復されていく。


 傷が修復されるとエレンスージは息を吹き返す。ゆっくりと鎌首をもたげ睨みを利かす。


 タケゾウが剣を構えるとブルナークが肩を叩いた。


「あいつの殺し方はもう分かった、お前は魔法使いの所へ行け」


「……しかし」


 ロッタのことは確かに心配だが俺はこっちで時間稼ぎを仰せつかったのだ……持ち場を離れる訳にはいかん。


 そんな俺に追い打ちを掛けるようにブルナークは言った。


「おい、タケゾー。魔法使いが無事に帰ってきたならお前達は信じ合う者同士だが、そうでなければ……」


 エレンスージはタケゾウ目掛けて突進するが、タケゾウはこれをかわし刹那の間に三太刀を浴びせ首ごと斬り落とした。


 エレンスージは地面に転がり黒い靄に覆われた。


 ブルナークは振り返り大声で叫ぶ。


「おい! 後ろでぼけっと突っ立ってる騎士ども! お前らはずっと見ているつもりか!?」


 これに反応し騎士達はどよめいた。互いに顔を見合わせ頷くと各々の眼の奥に鋭い眼光が宿っていく。


 それでもロレンゾは眉間に皺を寄せて俯いている。


「ロレンゾ様ッ! 我ら三銃士を召集しておきながら見ておるだけではあるまいか! 我ら皆この命懸ける覚悟をもって参っております」


 ロレンゾは慌てて制止する。


「いかん! これはあくまで私闘だ。お前達の命までかけるわけにはいかん!」


 そう言うロレンゾをアドラーが制止する。


「団長、それは違う。我らの剣は民の為にある。生贄の命も市民の命も等しく重い」


「しかし生贄は我が許嫁……命を懸けるなら私一人で十分だ」


「それはたまたまに過ぎませぬ団長、許嫁が生贄でなければまた別の娘が選ばれるだけのこと……」


 ロレンゾは俯いたまま、それ以上は何も言わなかった。アドラーは騎士団の皆に向き直り己が剣を抜いてかざし、こう叫んだ。


「ミロス騎士団ッ! 抜ッ刀!!」


「おう!」


 皆が同時に叫び一斉に抜刀した。


 この様子を見ていたブルナークはタケゾウに向かって口角を上げて笑って見せた。


「行け、タケゾウ。ここは任せておけ」

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