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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第五章 黒い森のクロエ
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エレンスージ討伐作戦④

 怯んだエレンスージにタケゾウはさらに斬りかかる。横たえる胴体をめちゃめちゃに斬りつけるとエレンスージは傷みに耐えられずあたりを転げ回る。


 不死身……と聞いていたが治癒が早いとかいうわけではないようだ。斬られた部分は相応の傷を負い瞬く間に治癒してしまうというような兆候もない。


 とはいえ時間をおけば治癒はしていくのだろう。あえて死なない程度に斬り刻んで様子を見ていく。


 エレンスージは鎌首をもたげ、タケゾウに襲いかかる。タケゾウはこれも身を低くしてかわすと今度は喉を斬り割いた。


 エレンスージはタケゾウに飛びかかった勢いのままで地面に転がり、苦しそうな呼吸の音を流しながら息絶えた。


 騎士団の皆は絶叫して勝鬨を上げる。


 ロッタはこの隙に走って背後に回り、石橋を渡っていった。


「おい、タケゾー、魔法使いどのがどこかへ行ったぞ」


 ブルナークがタケゾウに報せる。


「ああ、分かっている」


「いいのか?」


「大丈夫だ、蛇神に止めを刺すためだ」


 そう言っている間にエレンスージは息を吹き返す。


 ぐるぐると蜷局を巻き祭壇の側へと移動する。


「痛いじゃないか、不死身でも痛いって言ったのに……」


 タケゾウは静かにエレンスージを睨んで言った。


「生き返らずに死んだらどうだ? いっそ楽になるぞ……?」


「死ねないんだよ……」


 エレンスージはそう言うと鎧を着込んだ戦士を一人吐き戻した。大蛇の口からぽとりと落ちると立ち上がり剣を構える。


「なんと気色悪い芸当だな……」


 戦士はタケゾウ目掛けて斬りかかる。


 タケゾウはあえて剣を受け、鍔迫り合いになる。兜の隙間から鎧の中を覗うが真っ黒の空っぽであった。


 戦士と競り合うタケゾウにエレンスージが襲いかかる。ここでブルナークが割って入り大蛇の顎を突き、斬り割いた。


 同時にタケゾウは戦士の剣を伏せて押さえると胴を蹴り体勢を崩してから兜の隙間から首を突き刺した。だが戦士は息絶えずタケゾウに反撃をした。


 タケゾウは飛び退いて叫ぶ。


「ブルナーク! 蛇を殺せ!」


 ブルナークはにやりと笑ってから答える。


「おう! 任せろ」


 ブルナークは槍を振り回して構えると大蛇の首を何度も斬り刻み、脳天を突き貫いた。


 大蛇は再び息絶え、その場に倒れた。そして鎧の戦士も一緒に動かなくなった。


「タケゾー、あの魔法使いは一人で良いのか? 行ってやってはどうだ?」


 タケゾウは立ち上がりブルナークに答えた。


「大丈夫だ……あいつは強い」


 そう言って息を吹き返そうとしているエレンスージを睨んだ。

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