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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第五章 黒い森のクロエ
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エレンスージ討伐作戦①

 騎士団の詰め所へと招待され、その広い部屋の隅にある机に俺とロッタ、そしてブルナークは腰掛けている。


 隣の部屋にはルイーザと数名の護衛が詰めていた。


 あの夜以来、久々に会ったルイーザは泣きそうな顔をしていたが俺たちの顔を見て少し安心したようにも見えた。


 この夜が明けたらいよいよエレンスージの討伐だ。祭壇を偵察にいった騎士団の斥候も戻り明日の夜明けに封印が解けることが確認された。


 実はあれ以来俺とロッタは口を利いていない……訳ではないが、どうにもよそよそしい。


 朝一番にクロエのことは説明しようとしたがロッタは訊く耳を持たず、


「何でもないのならそんなに必死になって弁明する必要もあるまい」


 と一蹴されてしまい、俺はクロエのことを説明することは諦めた。


 当然ながらいまだに贈り物として購入した髪飾りを渡すことは出来ていない、今も懐に持ったままだ。


 周りには騎士団の精鋭たちが集められていて俺たちをじっと見ている。


 そんな視線よりも俺はロッタのことが気になって仕方がないのだが、誤解を招く行動に出てしまった自分を悔いるしかない。


 思わず溜息を吐いてしまうがブルナークは涼しげな顔で周りの騎士を値踏みするように見ていた。まったく頼もしい限りだ。


 正面の壇上に団長のロレンゾが上がった。


 前に会った時とは違い固い決意を感じさせる眼光を放っている。


「皆よく集まってくれた」


 ロレンゾは壇上から見渡すように視線を巡らせて告げる。


「この街を長い間苦しめてきたにっくき蛇神エレンスージを、これより討伐に向かう」


 騎士たちからどよめきが起こるが構わずにロレンゾは話を続ける。


「この討伐にあたり騎士タケゾー殿、ブルナーク殿が参加してくださることとなった」


 騎士達はどよめき俺たちに視線が集まる。


「騎士タケゾー殿は手合わせをしてもらったがまったく歯が立たなかった、騎士ブルナークはそのタケゾー殿のお墨付きの槍使いだ」


 騎士達の視線は疑いの目というよりも口惜(くや)しさを強く感じるものだった。


「我らはこちら二人の戦いを全力で援護する。くれぐれも邪魔にならぬよう注意すること!」


 ロレンゾはそう締めくくると出発の合図を出した。


 ここから祭壇を目指して出発する。


 ブルナークは騎士団で借りた馬に乗り、俺は馬に乗れぬロッタを一緒に乗せてフリューゲに乗って隊列に加わる。


 空には丸い月が輝いている。明るい月明かりに照らされながら騎士団の一行は進む。

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