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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第五章 黒い森のクロエ
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ブルナーク・アシェラッド

 馬車を取りに行くと追加の料金などはなく受取りの手続きだけ済ませて俺は宿に戻った。


 衣類などの入った箱だけ持って部屋へ上がると、ロッタはベッドに倒れ込むようにして眠っていた。


「おーいロッタよ、着替えだけは持って上がったが他にいるものがあるか?」


 よく眠っているようで返事はない。寝顔を覗き込んでみた。


 こうしてまじまじと見てみるとロッタの顔もなかなかにかわいらしい。いつもは気丈過ぎるほどだがこうしていればただの可愛い娘だな。


 ロッタに布団をかけてから馬車に戻る。


 フリューゲを馬車から解いてやり、宿屋の者に馬車を預けるように荷ほどきをしていると背後から聞き覚えのある声がする。


「タケゾーか? こんな所で奇遇だな」


 振り向くと見覚えのある顔があった。俺は思わず剣に手をかける。


「待て待て待て、俺は丸腰だぞ?」


 両手を上げて見せている、確かに丸腰だった。そしてこの顔は……


「ブルナークか……?」


 そう、つい先だってスツーカの東門でやりあった槍使いのブルナークだった。


「久しぶりだな、ブルナーク・アシェラッドだ」


 そう言ってブルナークは笑った。


「俺は傭兵だ、あん時ゃ()()だったが今は()()()()だ」


 俺は警戒を解いた。


「俺は次の仕事を探しに来たんだが……タケゾーは……傭兵って感じではないな……?」


「ああ、俺は旅の途中だ」


「旅か……ほう……」


 そう言ってブルナークは少しばかり考え込んだ。そして何やら妙案を思いついたらしく頷いた。


「色々と話したいこともある、暇なら一杯付き合わないか?」


 一杯とはつまりは(さかずき)、酒を酌み交わそうという誘いだとすぐに理解した。俺はロッタのことが気になり部屋のほうへ思わず視線をやって見る。


 疲れて眠っているようだし、たまには一人にしてやるのもいいかもしれない。


「いいだろう、馬車を片付けるまで待ってくれ」


 ロッタには『すぐに戻る』と書き置きを残し、俺とブルナークは酒保を求めて繰り出した。


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