大団円
ここ数日の町は慌ただしかった。
ケルナとユハの祝言は町を挙げて祝福するということでその準備で大わらわだった。ついでにトラウベ達の祝言も合併で行うとのことで慌ただしさに拍車を掛けた。
特にケルナが着ることのできる白無垢の衣装がこの町には無いので、町の腕利き針子が六人がかり、つきっきりで縫い続けた。
さらにルーチェとカペラも張り切ってケルナをお祝いすると材料を集めて奔走していて微笑ましい限りだった。
そして今日はいよいよ二人の祝言の日となりケルナは朝早くから町の婦人衆に囲まれて着付けと化粧を念入りにやられている。
ユハはといえば早々に着替えを終わり落ち着かない様子で花嫁を待っている。
「俺には経験がないので分からんが、こんな時はどんな気分なんだ?」
俺がそう問うとユハは苦笑いを浮かべて答えた。
「いやあ、何と言えばいいんですかねえ……ははは」
普段のユハは豪傑だがすっかり繊細になってしまっていた。
祝言は盛大に執り行われ、ユハとケルナはこの日めでたく夫婦となった。
トラウベとメローネも祝言を挙げ、二人はこのまま町に残るが炎術士のフラームとフランメは賠償金の調達のため早々に町を出て行った。
これはまあ、二人に気を使ったということも考えられる。
そして俺とロッタもいよいよこの町を後にする日がやってきた。
まさかこんなに長居をすることにはなるとは思いもしなかったが、なかなかに楽しい日々だった。
出発の日、俺はフリューゲに朝から草を食わせて水を飲ませてから馬車に繋いで準備をした。
ロッタは魔法使い達と別れの挨拶を時間をかけて済ます。
ユハとケルナにはいつになるかは分からないが再会を約束して別れる。ユハの手下たちとは固い別れの握手を交わす。
門の前には町中の皆が集まって見送りをしてくれた。長くいたので見知った顔も多い。俺とロッタは手を振って名残を惜しみながら馬車を走らせる。
スツーカの町が遠くなっていく。
またロッタと二人の旅が始まった。フリューゲは軽快に足音を鳴らして歩いている。
見上げると空は青く晴れ渡っている。いつの間にか日差しが強く、夏になっていた。




