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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第四章 決戦! スツーカ砦
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戦の後②

 頭に血を上らせたフラームとフランメはロッタ目掛けて炎術魔法を繰り返す。

 フラームは小さな火球をいくつも作り出しロッタの上下左右から一度に襲う。

 フランメはいくつもの火球の矢を作って真っ直ぐロッタに向かって連続で打ち出した。

 しかしロッタにはまったく当たらない。全て反らし、あるいは弾き飛ばしてしまうのだった。

 ここに来て炎術使いは戦法を変えてきた、ということは並の魔法使いであればこれまでのようなごり押しで屈服させてしまえるのだろう。

 相変わらずロッタは相手に水をぶっかけるのみでまともな攻撃をしない。あの炎術使いたちは自分たちが戦っている相手が伝説の魔法使いローテアウゼンとは知らないのだろう、ロッタは名乗らなかったからな。まあ知っているにしろ、それがこんな嫌らしいヤツだとは思いもよらないことだろうな。


「なんじゃ? タケゾウよ、今儂を悪く思わなんだか?」

「……思ってないぞ? そんなこと思うわけがなかろう」

「……ふむ……まあ、よいか」


 こんな時にも鋭い奴だ。きっと背中にも目が付いてるんだな。

 炎術使いの二人は互いに目配せをして頷いた。今までのような攻撃を止め、胸の前で手を合わせ何かの詠唱を始めた。

 二人の間に頭ほどの大きさの火球が発生し、高速で回転を始める。少しずつ大きくなりながらもの凄い熱を発している。

 こいつはヤバいやつだ。魔法を知らぬ俺でもそう感じる。

 ロッタは「ほれ」と水を浴びせかけるが炎術使いの間近で水は水蒸気に変わり白い煙となって消えた。

 ここで初めてロッタの表情が険しくなった。


 突然目の前が真っ白になりその次の瞬間には身を震わせる雷鳴が鳴り響く。

 落雷というにはあまりにも規模が大きく凄まじい。あまりに閃光が激しくてどこに落ちたか分からないほどだった。それでも何となく西門の方角だったようだ。


 見ると炎術使いの二人も、木人形(こっぱ)どももこちらの自警団や魔法使いたちも動きが止まっていた。


「タケゾウ! 今じゃ」


 ロッタの声が聞こえたと同時に俺の手には氷の(つぶて)があった。ロッタと事前に打ち合わせておいた秘策。

 落雷に視線を釘付けにされている炎術使い、その近いほうに向かって俺は思いきり氷の礫を投げた。

 俺の全力、ありったけの力で投げた礫は一直線に炎術使いに向かって飛んでいき吸い込まれるように頭に当たって砕け散った。


 タケゾウの投擲を受けたフラームは矢を受けたカラスのように落下していく。一瞬遅れて察したフランメはすぐに反撃の体勢に入る。


「上か!」


 上空の氷塊に向かって炎を浴びせるフランメ。


「……下じゃ」


 ロッタは炎術使いに浴びせた水を地表で凍らせておいた。その氷を嵐のように下から浴びせかけた。

 数発の礫を食らいながらもフランメは炎の向きを変えて下からの氷塊を溶解していく。

 上下の異変に気を取られたフランメはタケゾウの二発目の投擲にはまったく気が付かなかった。

 危険を察した時にはすぐ目の前に氷の礫は迫っていた。


「クソがぁああああああああっ!」


 そう叫んだのも束の間。額に衝撃を感じた次の瞬間には意識は遠のき、屈辱だけを噛み締めながらフランメは落下していく。

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