魔獣師…語り掛ける
話しを聞いた魔獣部隊の皆はそれぞれに、クラウスを見守り守る事を誓う
((((常識は俺達が教えてやらないと……))))
魔獣の知識・扱い、魔術、戦闘能力、諸々……規格外の実力のシリウスだが……人としての常識が欠如している。
クラウスをシリウス化させない様にと再度、心を一つにする面々だった。
『とーたん』
大人達が話してるうちに目を覚ましたクラウスがは起きても消えなかった温もりを確かめる様にシリウスに抱きつく
グゥーギュルルルー
クラウスの腹の虫が可愛く鳴き声をあげる
大人たちは可愛らしい腹の音に自然と笑みが漏れていると言うのに……
当のクラウスは……
『ごめんなちゃい……ごめんなちゃい……ごめんなちゃい……』
身体を丸め、ブルブルと震えながら涙ながらに謝り続ける
クラウスの姿は大人の心を締め付ける……
ルゥの回復魔術のおかげで血色こそ良くなってはいるが……
クラウスの様子からもハーデス帝国の生家での扱いは容易に想像できた
すると
『なに泣いてるんだ? クラウス! 腹が減ったら腹は鳴るもんだ!!』
クラウスの背中を摩りながら、明るい口調で話しかけるシリウス
『とーたん …… ?』
涙も震えも止まら無いもの顔を上げるクラウス
『なあ……クラウス。今日からお前は俺の息子だろう?』
顔を上げたクラウスの瞳を真っ直ぐに見つめ、頭を撫でながら今度は優しい声で話し掛けるシリウス
『むちゅこ……』
『そうだ、息子だ!! クラウス、お前は俺の息子だ!!』
優しく、けれど力強く言い聞かせて様に話すシリウス
『けどな……クラウス……俺は人の心には疎いんだ……疎いじゃ難しいか……
人の気持ちはよく分からないんだ……
だから、したい事・やりたい事・好きなもの ・嫌いなもの・怖いもの・苦手な事
ちゃんと言葉にして教えて欲しい。
俺はお前を守り育てるから、クラウス、お前が俺を父さんにしてくれ!!』
『ボクが……とーたんをとーたんにしゅるの……?』
『そうだ!! クラウスが思ってる事をいっぱい話して、俺がそれを聞く。
我儘も悪戯もいっぱいしてくれ!! たまには叱るかも知れんが、
そうやってクラウスは息子として俺は父ちゃんとして育てば良い。』
シリウスの話しを真剣に聞いたクラウスは
『あい……とーたん』涙ながらに答える
身体の震えは止まっていた
『なあ…だから教えてくれ! クラウス、お前は今どうした?』
笑顔で尋ねるシリウスに
『おにゃか……ちゅいた!!』
今度は笑顔で答えるクラウスだった