魔獣師…名前を付ける
『よし!! 俺が新しく名前を付けてやろ!! う〜ん……俺の息子だからなぁ……クラウス』
閃いたとばかりにドヤ顔のシリウス
『意味は?』
名前に込められた意味が気になり尋ねるデービス
『無い!! 音だ!! なぁークラウス』
ドヤ顔で言い放ったで優しい笑顔でクラウスの頭を撫でる
『ぼく……くらうしゅ?』
期待を込めたキラキラした瞳でシリウスを見上げる
『そうだ!! 俺、シリウスの息子のクラウスだ!! 俺達がクラウスをずっと守ってやるからなぁ』
黙っていれば天使の様な容姿のシリウスが曇りの無い慈愛を込めて微笑みかければ
『とーたん!! うわぁ〜ぁ"ぁ"ぁ"〜ん』
クラウスは初めて向けられ人からの優しさにシリウスにしがみ付くと今までの悲しみ苦しみを洗い流す様に泣き続けた
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シリウスの腕の中で幸せそうに眠るクラウスを愛おしそうに見つめる姿は最早、父そのもだ
だが……しかし
『『『『いい加減……ちゃんと説明して貰おうか!!!!!』』』』
事の成り行きを見守っていた大人たちがシリウスの色々説明不足にキレた
若干の面倒臭さを滲ませながらルゥの補足を通訳しつつこれまでの事を説明しはじめた
ルゥが散歩に出掛けるどこからか幼い子供のすすり泣く声が聞こえてきた
声のする方に進むとそこにはクラウスが蹲って啜り泣いていた
流石のルゥも驚き、即座に魔力感知の魔術を展開したがかなり広範囲に魔術を広げてもシリウス以外の人間の魔力を感じ無かった
それどころかかなり遠くになるまで魔獣の魔力すら感じ無く不思議に思ったが、すすり泣く声と一緒にぐーぐー鳴る腹の虫の音が聞こえたのでルゥは散歩途中で見つけた果実を取りに戻るといくつか咥え、怯えられるとは思ったが 、なるべく驚かせない様に静かに近づいてクラウスの足元に果実を置いた
『しりょい……おーかみしゃん……?』
近づいて来たルゥに気付いたクラウスは驚きはしたが怯えは見せ無かった
ルゥは鼻で果実をクラウスに近付けると食べる様に頬ずりして促した
『たべちぇいーの?』
クラウスの問いに
『ガゥ』
小さく一鳴きして答えやる
『うぐぅ"うぐぅ"……』
相当、空腹だったのか泣きながら必死に食べ始めた
一生懸命食べるクラウスが少しでも楽になる様に背もたれ代りに後ろに寝そべる
食べ終えるとクラウスは眠くなったのかうつらうつらとし始めた。
寝ない様にと一生懸命、手で目を擦っている
寝かしてやろうと腹に抱えて尻尾でトントンとしてやるとすぐに寝息をたて始めた
クラウスが寝たのを確認するとルゥは起こさない様にとクラウスに安眠魔術を掛け、首が締まらない様に気をつけて服の衿ぐりを咥えるとシリウスの所まで運んだ
シリウスの知らないルゥとの出会いをシリウスに話しシリウスが皆に通訳し、シリウスもこれまで事を皆に話した