魔獣師…入国する
三日後、『僕もクラウスと遊びに行きたい!!』とゴネるラミーを大きな肉の塊で誤魔化し
シリウスとクラウスはルゥに跨り、まだ薄暗い早朝、コーリアス共和国へと向かった。
魔獣で無い普通の馬車で一番近い国境の関所まで三日掛かるが、早朝から出発すればルゥの足なら日が沈みきる前に到着できる
シリウスの股の間に座るクラウスは昨晩、今日の事が楽しみ過ぎて遅くまでワクワクして眠る事が出来なかった為、うつらうつらと舟を漕いでい
『少し眠っておけ』
シリウスが抱き寄せクラウスの胸を優しくトントンっと叩くと、直ぐに寝息を立てる
まだまだ体力の無いクラウスにシリウスが弱い回復魔術を展開する
『なあルゥ!! 今から行く街には海が有るんだが、寄ったらクラウスは喜ぶか?』
『バゥ』(絶対、喜びぞ!!)
『じゃあ!! 一日海で遊ぶか!! ちゃんと観光してる様に見せないとな!!』
任務が有るのは重々承知しているが、理由は何であれクラウスとの旅にシリウスをルゥもワクワクしているのだ。楽しめる事は心から楽しもうと。
ルゥはクラウスを守る魔術を展開すると、加速する。
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ルゥが張り切って駆けたおかげで予定より早く関所に到着する、関所の門には短い列が出来ておりルゥから降りクラウス抱くとルゥを連れ立って並んだ。
入国審査をする門兵に市民カードを見せると
『スルジア王国の方ですね、入国の目的は?』
門兵が市民カードの情報を読み取る魔道具でカードの情報を見る
『観光だ』
『結構です。入国税にお一人銀貨一枚頂きます。お子さん、騎獣も同額になります。』
シリウスは門兵の言う通りに銀貨を三枚支払い、コーリアス共和国の端の街に入った
シリウス達が入った街は港街で磯の香りが漂う活気の有る街だ。
物珍しそうにキョロキョロするクラウスを連れ宿を探す。国境の街だけ有って宿も沢山ある。
貴族のシリウスだが正直、寝る場所に拘りは無い(何なら野宿でも構わない)がアランからその街一番高い宿の一番高い部屋に泊まる様に指示されていたので、街で一番造りの立派な宿に入る
身なり良い男性が迎える
『いらしゃいませ』
『一泊出来るか?』
『市民カードの提示をお願いしていますが、よろしいでしょうか?』
高級宿は身分の高い人間が泊まる事が多い為、一見の客に市民カードの提示を求める事は普通で有る。
シリウスがカードを見せる
市民カードは発行する魔道具もそれを読み取る魔道具も国で管理されてる為、関所やギルド、領主など違い
カードの表面に書かれた
国名[スルジア王国]
領名[グレイ領]
氏名[シリウス・グレイ]性別[男]
程度の情報だけだが、高級宿などは独自の情報網を持っている為、充分だった。
『ご協力いただきありがとうございます。今でしたら最上級のお部屋がご用意出来ますが?』
『頼む』
『お部屋代は一泊金貨一枚になります。お食事などは別途頂いております』
スルジア軍の訓練期間中の新兵の一月分の給料が金貨一枚
冒険者などが泊まる比較的、安価な宿は大体、銀貨三枚〜銀貨六枚程度、なかなかのお値段で有る。
『では、御案内致します』




