魔獣師……本日も早退?
『よし行くか!! ちゃんと付いて来いよ!!』
盛大に腹の虫を鳴らす、ラミーにシリウスが声を掛ける
『お肉!!』
お肉で頭一杯のラミー
『おにくー』
器用にラミーの尾からよじ登り、最終的にはラミーの頭の上に到着したクラウスがご機嫌ラミーを真似る
(勿論、大人達の魔術により(クラウス、ルゥ、マリア)クラウスの安全は確保済み)
クラウスがラミーの頭に乗って行く気満々の為、ラミーを若干、睨むルゥだが、この幼い竜はお肉で頭が一杯なので気づかない……
ルゥに跨ったシリウスを先頭に空と駆け上がった
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『着いたぞ!! この下に降りてくれ!!』
シリウス達は自宅の庭に降り立った
庭には何人か使用人がいたが、竜を連れて降り立ったというのに慌てる様子もなく、庭師に至っては作業する手を止める事もなく
『坊ちゃんお帰りで?』と声を掛ける
(え……)
寧ろその様子にマリアの方が戸惑う
『お帰りなさいませ、シリウス坊っちゃま、クラウス坊っちゃま』
玄関はら帰ってきた訳でも無いのに、しっかりと現れすセバスチャン
『セバス、コイツら腹を空かせてるんだ!!』
『お肉〜!!』
ウキウキ顔のラミー
『ラミー……』
屋敷や庭の大きさなどから、この家がかなり位の高い貴族だろうと解り益々、困惑する
『かしこまりました。お部屋とお着替えのご用意もして参りますので、こちらでお休みになってお待ち下さい。』
透かさずティーセットを乗せたワゴンを運んで来るメイド
速やかにガーデンテーブルにセットされる
『マリア、お前も掛けろ』
マリアに席に着く様に勧めると、席に着き魔空間から何やら取り出すと書き込み始めるシリウス
絶賛困惑中のマリアは言われるがままに席に着く
すると、『しーちゃん!! くーちゃん!! お帰り〜!! 今日も早かったわね!! 』
ツナギ姿のメリンダも庭にやって来る
『コイツら拾ったからなー』
マリアとラミーを指すシリウスい
『ひろ……』
シリウスの拾った発言に少しショックなマリア
『拾われた〜!!』
何故か嬉しそうなラミー
『そうだったのねぇ〜』
それだけ言うとお茶に口をつけ
『あ!! 私はしーちゃん…シリウスの母のメリンダです。お嬢さんと竜ちゃんの名前は?』
マリアの目を見て優しい笑顔で聞くメリンダ
『あ……あの……マリアです……』
色々、混乱中のマリアは言葉が上手く出ない
『僕、ラミー!! おばちゃん!! お肉まだ〜!!』
対照的にクラウス、ルゥとワチャワチャとジャレ合いながらリラックスしている(ルゥの若干、当たりの強い対応にもどこ吹く風)グイッと首を伸ばし、メリンダをのぞき込むラミー
『ラ……ラミー…』
そんなラミーに困り顔のマリアだが
『ラミーちゃん!! とびきり美味しいお肉を用意させてるから待っててね!!』
ヨシヨシとラミーを撫でるメリンダ
『お待たせしました。今日は天気もよろしいですし、竜もいらしゃるのでこちらで召し上がって下さい』
セバスチャンが食事を乗せたカートを押すメイドを引き連れ戻って来る
すると……
『セバス、コレを陛下へ』
さっきまで何やら書き込んでいた紙をセバスチャンへ渡す
『かしこまりました。』
セバスチャンが紙を胸ポケットにしまう
メイド達がガーデンテーブルに食事を並べ、従者達が大きな肉の塊を運んで来る。
『お肉!! お肉!! お肉!!』
大興奮のラミー
『遠慮せずに召し上がれ!!』
メリンダのその言葉でラミーはガツガツとマリアは遠慮がちに食事に口をつける
出された食事は美味しく、そして自分が思ってた以上に空腹だったと気づくマリア
頭の中で色々な思いが掻き乱れ、マリアの瞳からは涙が溢れ出る
『大丈夫だ!! お前達を悪い様にはしないから……今は食え!!』
ぶっきらぼうな物言いだが、この言葉がマリアを少し落ち着かせ、マリアは食事を食べ進めた
涙を拭いながらゆっくりと少しづつ……




