魔獣師…出張る
着替えさせたクラウスを連れ部隊棟を出ようとした時、若い近衛部隊員が部隊棟へ駆け込んできた
『シリウス副隊長に陛下より伝令です! 北東の国境付近で幼い竜が興奮し暴れているとの事で。
国境警備部隊の隊員がどうにか落ち着かせ様と試みてはいるのですが、近寄る者に無差別的に攻撃し、近付けないとの事です! 負傷が何人か出ており被害が拡大する前に、シリウス副隊長が現場に出向き事態の鎮圧を命ずるとのことです。』
『了解した』
シリウスは近衛部隊員から詳しい場所を聞くとクラウスを抱き上げルゥに跨るとすぐさま出発した
(え!!子連れで行っちゃた……。)
『シリウス!!』
子連れで出発してしまったシリウスを止める事も出来ず近衛部隊員が驚いている所に、話を聞いたデービスが走ってやって来る
『シリウスは!?』
焦った様子で近衛部隊員にシリウスの所在を確かめる
『行かれました……』
『クラウス……子供は!?』
『ご一緒に……』
『行ったかーーー』
大丈夫だとは思ってはいるが流石に心配なデービスなのであった
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騒動が起きている現場上空までやって来ると、10メートルにも満たない幼い竜が魔術をただ乱暴に放って、暴れていた。
国境警備部隊員達はこれ以上、竜を進まない様に、竜の魔術が届かないギリギリの所で魔術障壁を展開して、円を描く様に取り囲んでいる
するとシリウスはルゥごと結界魔術で包み込む、そこにルゥも結界魔術を重ねる
『厳重だな……あんなちっこい竜だぞ……』
自分だけなら絶対にしないであろう相棒の行動に苦笑いを浮かべるシリウス
『とーたん……りゅーたん……いたいいたい?』
クラウスは暴れる竜に怯えるでも無く、心配している
『そうかもな!! だったら、治してやらないとな!!』
心配そうなクラウスの頭を撫でてやる
『ルゥ! 行くぞ』
ルゥに合図すると、ルゥは幼い竜の目の前まで降りる
周りを囲っている国境警備部隊員達は、シリウスを知る者達は、胸を撫で下ろし
日が浅く、よく知らない者たちは息を呑む
『お前……少し落ち着け』
この状態がなんて事ない様な、飄々とした様子で竜に話し掛けるシリウス
突然の事にブレスを吐こうと口を開けたまま、竜も固まる
『何をそんなに怒ってるんだ?』
(・・・・・・)
『りゅーしゃん!! おこちぇる?』
(!!!!!)
クラウスの声に気づき今度は目を見開き、間抜けな顔になる竜
『りゅーしゃん』
ルゥから滑り降りるとトテトテと竜の足にに抱きつく
『なんだぁー?』
竜が素っ頓狂な声をあげる
『とーたん!! おねいしゃんがねんねしてゆー!!』
竜の足に抱き付いたクラウスが竜の腹の下に横たわる女性をみつける
『何!?』
クラウスの声にシリウスが駆け寄ろうとすると、竜に警戒心が戻る
『りゅーしゃん!! だいじょーぶよ!!』
クラウスが竜に再度、抱きつく
『あ…ああ…』
抱きつかれた竜がクラウスに視線をやり困った顔になるが警戒を弱める
『大丈夫だ!! 悪い様にはしない』
シリウスを竜に触れ目を見て、伝える




