魔獣師………誓う
散歩帰りに疲れて寝てしまったクラウス
少し休ませた後、まだウトウトするクラウスに夕食をなんとか食べさせ、風呂に入れ早めに寝かしつけやる
いずれはクラウスの部屋も用意する予定だがクラウスの不安が無くなるまではシリウスの部屋に寝かせる。
すぴー すぴー……
白い狼の着ぐるみ型のパジャマを着たクラウスが、少し鼻にかかった寝息を立てる横でルゥも守る様に横になっている
クラウスが白い狼のパジャマを選んで着た時にはセイにお株を奪われ続け、凹み気味だったテンションが急浮上しブンブンと尾を振る相棒の姿にシリウスは苦笑い浮かべるしかなっかた
シリウスが書類仕事などを終え自分もベッドに入ろかと思った時、クラウスのすすり泣く声に慌ててベッドに駆け寄ると、小さな身体を更に小さく丸めガタガタと震えながらすすり泣くクラウスを、ルゥが腹に抱えてやりなが困った様にシリウスを見上げる
『ルゥ……少し手伝ってくれ……』
シリウスが悲壮な面持ちで魔術を展開する
シリウスが展開した魔術は聖属性の最上位の魔術で対象者の記憶に入る事ができる
この魔術はかなり高度な魔術で一歩間違えると術者が対象者の記憶に呑まれる事がある、この魔術は単純に記憶を<見る>のでは無く記憶の中に入り<体感>する事になる
過去に残虐な犯罪を犯したと思われる者にこの魔術を使い術者が呑まれ廃人の様になった例がいくつか報告されている魔術だ
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クラウスの記憶に入るシリウス
幼子の記憶だからか、記憶自体が霧がかかったみたいに鮮明には見えないがそこが、カビの匂いがする地下室の様な部屋だとはわかる
部屋には質素な作りのベッドと小さな火を灯すランタンが置かれたサイドテーブルしかなく、鉄格子がはめられた光取りの小窓から月明かりさ少し射し込んではいるが薄暗くまるで牢獄の様な部屋だった。
暗いの嫌だ……
痛いの嫌だ……
寂しい……
お腹すいた……
怖い……
クラウスの記憶の中の感情がシリウスに流れ込んでくる
部屋の扉が開き誰か入って来る。
身なりの良い男だと分かるが顔の部分が歪み、どんな顔かは認識できない。
すると男が何か発したが
『#$*&^%$#@@%$』
音しては聞こえるが何を言っているかは理解できないが、だだ音に込められた感情だけは分かった
嫌悪し蔑むような、敵意や憎しみがこもった、とてもこんな小さな幼子相手にいい大人の男が向ける様な感情ではない
シリウスへ流れ込むクラウス感情の悲しみや恐怖が深まるり、耐えきれずシリウスは魔術を解除した
『ハァハァハァ……何なんだアレは……』
クラウスの記憶の中の感情は、シリウスが今まで感じた事が無い程の苦しみだった
『こんな、小さい子供に何ってことを……』
すすり泣くクラウスを抱きしめ安眠の魔術を展開する
『ごめんな……今度は安らかに眠れな……』
震えが治り身体から力が抜け穏やか寝息たてるクラウスをもう一度抱きしめ最初から安眠の魔術をかけなっか反省とクラウスをアノ場所から本当の意味で解放してやる事をシリウスは心に誓った




