魔獣師…帰宅する
クラウスが疲れて寝てしまったのでシリウスは少し早いが領地にある自宅へ戻る事にした。
今日は遅番だったが、デービスが休みにしてくれた。魔獣部隊は二交代勤務だ。
国王軍はどの部隊も三年未満の隊員は各部隊の隊舎に住む決まりだが、それ以降は自宅から通うのも隊舎に住むのも自由だ、比較的に独身の間は隊舎にいて、結婚を機に出る者が多い。
領地の自宅から王城までは距離があるがルゥが駆ければあっという間出し、詰所には仮眠するスペースもある為、シリウスは自宅から通っている。
シリウスはルゥに跨るとクラウスを抱き上げ帰路につく
屋敷の前まで来るとルゥからクラウスを抱いたまま降りる。派手さはない立派な造りの大きな屋敷
『お帰りなさい、シリウス坊ちゃん!! その子が例の子ですね!! 旦那様がお帰りになって奥様と凄く盛り上がってましたよ!!』
門番がシリウス達も迎える
『はぁ〜……ただいま……何で親父はもう帰って来てるんだ……』
門番の話に無理矢理に仕事を終わらせてはしゃぐ父親の姿は容易に想像でき頭痛を覚えるシリウス
嫌な予感を感じながら屋敷の扉を開けると
『『『『『『お帰り(なさいませ)』』』』』』
屋敷中の人間が集合していた
(あいつめ……)
もちろん門番は主人達の帰りや来客を知らせ為にベルを持ている
シリウスは初めてベルの存在にイラッとした
『ふぉお〜にゃぁに……?』
屋敷、全員分の音量はシリウスの腕の中のクラウスを起こす
『驚いたか? 大丈夫だ!! お前がこれから暮らす家に着いただけだ!! お前はこんな起き方ばっかだな!!』
化粧気が無く髪を後ろに一結びにし、つなぎの作業着姿で、金髪青瞳の美人が駆け寄る
『あら! 驚かせちゃった? 私は貴方のおばあちゃんよ!!』
この女性はファビウス・グレイ侯爵夫人、シリウスの母のメリンダである。
彼女もまた、魔獣師でファビウスが魔獣部隊の隊長だった頃の部下
男爵家の生まれだが着飾る事より魔獣が好きで、女性、特に貴族の女性には珍しく魔獣部隊は入隊し、男性隊員にに引けを取らない働きをしていた。
現在、領地の魔獣の世話を取り仕切っており、自分も率先して世話をしている。
『ばーたん?』
クラウスがコテッと首を傾げながらメリンダを見つめると
『あーっ!! 孫、可愛いー!!』
シリウスからクラウスを奪い取ると豊満な胸に抱きしめる
『ばーたん……』
メリンダに抱きしめられ男性とは違う女性独特の柔らかさや、温かさ、匂いに心がザワザワし苦しくなり涙目になる
シリウス
幼子の本能レベルの母へ恋しさをメリンダが刺激したのだ
『あらあら……』
しなやかで温かい手で優しく撫でてやるメリンダだった




