魔獣…相棒との出逢いを思い返す
俺はルゥ、シリウスの相棒だ。
俺の上でキャッキャと嬉しそうにはしゃぐクラウス、その姿を優しい瞳で見ている相棒の姿に出会った頃を思い出す。
俺とシリウスの出会いも又、魔の森だった
まだ子供だった俺は母と父とで魔の森の大樹付近で暮らしていた。産後、体調を崩した母の為に魔素の多い大樹の近くで暮らしていたのだ
その日も、母が大樹の近くに横たわると父は俺と母の食糧を調達する為に狩に出かけた
俺は母の横たわる腹の中に潜り込んで父が戻るのを待った
ガサガサガサ……
眠ってしまった俺は物音で目を覚ました。すると、そこには……
沢山の人間と血だらけになって人間に引き摺られる瀕死の父がいた
『ググルルル……グググゥ……』(に……げ……ろ……)
瀕死の父が必死に鳴いた
ザザッ
母親が俺を背に隠す様に俺の前に立ち
『グヴガァ……グググゥ…』
牙を剥き出して人間達に威嚇する母
一人の人間薄ら笑いを浮かべながらが母に向け魔術を放った、すると母は俺に結界を張ると覆い被さる。
今、考えると弱っていた母は人間が放った魔術を防ぐ程の力が無かったのだろう今、できる最大限の結界を俺に張り、盾となるべく覆い被さった
覆い被さりながら母は言った『母さんが立ち上がったら力の限り走って逃げろ』と
人間の放った魔術は火の槍となり母を貫き結界を破壊し止まった。
母は槍が刺さったまま立ち上がると俺を咥え遠くに放り投げると人間たちに突進していった
『グルゥ……』(走れ……)と言う言葉を残して
俺は走った、兎に角走った何かに躓いたり転げ落ちたりしながら只々……走った
自分が何処を走ってるのか何処に向かえば良いにかも分からず……そして、俺は崖から転げ落ちた
崖したまで転げ落ちた俺は全身の痛みで動けずにいた、子供の俺でも分かった、自分が死ぬんだと……
血塗れの父の姿、命懸けで守ってくれた母の姿を思い出し悲しさと怒りで人間に対して憎しみを募らせながら、死を待っていた
ザザッ…
物音がしたがこの時の俺はもうどうでも良かった
他の魔獣や動物の獲物になろうが……
『大変だ!!』
人間の子供の声がした
すると人間の子供は俺を抱き上げると魔術を展開する
俺は暴れた。引っ掻き、噛み付き暴れた。人間の事が怖かったし、憎かったら、残された全ての力を使い意識を失うまで暴れた




