バカの反省
「我々の記憶に成瀬宗美の記憶がない理由は……」
「仮説に過ぎないけど、恐らく成瀬宗美の時間移動による認識改変。成瀬宗美が一ヶ月前に時間移動をしたことで俺たちから彼の記憶が消えて、息子を忘れた先代がペンダントを失くしたと思って俺の家に来たってとこだと思う」
一応筋の通ってるゲイルの仮説に納得し始める一同。
「てことはこれから調べることはペンダントの解析か……」
「いや、それには及ばない。このペンダントには起動するカウントダウンがされている。俺たちは起動を待つだけだ」
ゲイルの発言に嫌な予感がした、セフィーラがゲイルに質問する。
「ちなみにそのカウントダウンはいつ終わるのかしら?」
「あと30秒」
「「「はぁあ!!??」」」
「ちょちょちょちょ」
「刹那がパニックになった!」
「さてはあんた、このくだりがあるまで忘れてたわね……」
パニックにならなかった者はゲイルへ、ジトーとした視線を突き刺す。
そんな視線にゲイルは目を横に流しながら。
「……サプラーイズ」
「ふざけんなあああぁぁぁ!」
教室の全員がゲイルに怒りながら彼らは成瀬が待つ時代へと、ペンダントから発せられた閃光と共に飛ばされてしまうのだった。
◇◆◇
「う、ううん。ここは」
「刹那、起きたか」
目を覚ました刹那の目の前には大柄の短髪の少年、リブラ小隊隊長のユルドが立っていた。
「私は一体……」
「恐らく時間移動によるショックで気絶してたんだ。俺たちもさっき起きたばかりだ」
刹那が周りを見渡すと、まだ何人か起きていないものがいた。
刹那たちがいた場所はいくつものコンピュータデスクと、それを見渡せるような一段高い位置にあるデスク。軍の司令室のようなところだった。
そんな司令室の一角で、クラスメイトたちが何かを取り囲んでいた。
「あれは……」
「バカの反省だ」
それだけでは何を言ってるのか分からなかった刹那は、ユルドと一緒にクラスメイトたちに取り囲まれてる何かを見に行くと、果たしてそこには正座したゲイルがいた。
「なるほど……確かにバカの反省だ」