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知らないクラスメイト

「それじゃあやっぱり、違うってことじゃないのかしら?」


 ヴァーゴ小隊隊長の沙羅がそう言うと、他の隊長たちもそうだとうなずく。


「そこも調べた。するともっと面白いことがわかった。さっき先代サジタリウスって言ったろう?だったら今のサジタリウスはどこにいるのか、自分の子供のことなんだ、知らないほうがおかしいそう思うだろ?」


 しかし先代は知らなかった。


「自分の子供のことが分からないのか?」


「それは俺たちも同じさ。先代が面白いことを言ってたんだ」


 先代とその妻には子供がいない。

 しかし一ヶ月前に急に、何か言いようのない違和感を感じたらしい。

 持っているはずのペンダントが無く、出産経験のない妻には帝王切開の手術痕があった。


 さらに、自分と妻が笑ってる写真に見知らぬ少年が写っていた。

 家にある写真を見ると、その少年らしき赤ん坊を抱いて微笑んでる自分たち、初等部の特別学級に入学したことを祝ってる自分たちのものが次々と出てきた。


「ホラーだろ?」


「ま、まあそうだが……どういうことなんだ?我らには初等部からずっとこの面子だろう」


「学校の記録を見たらデータ上はいたんだよ。このクラスにもう一人のメイト(仲間)が」


 驚きの連続だった教室が、静寂に包まれる。

 記録には存在する自分たちの記憶にないサジタリウス。

 その存在は調べた本人のゲイル以外にとっては衝撃だった。


「現サジタリウスの名前は成瀬(なるせ)宗美(そうみ)。記録上俺たちの中で成瀬に勝てたやつはいなかった」


 その後に続けて、一人最低10戦はしていると言われて、記憶に無い敗北記録に戸惑う一同。


「そしてこれが高等部に進学時の集合写真」


 ゲイルが出した写真には教室の面々に囲まれてはにかむ、誰も知らない一人の少年がいた。

 これが恐らく成瀬宗美なのだろうと思う一同。


「結構イケメンですね」


「しかしなぜ俺たちの記憶に残ってないんだ?一度見たら忘れるような感じじゃないぜ」


「原因はこのペンダント、この前精密検査してみたらビックリ。中身は精密機器みたいな構造だった。サジタリウスに残ってた文献によるとこの装置、時間移動装置らしい」


 いきなりのSFワードに、は?と言う空気に包まれる教室。

 刹那が呆れたように頭をふる。


「そんなバカなこと、ありえな」


 刹那が全て言い切る前にゲイルが口を挟む。


「本当にそうかな?100年前まではホムンクルスの存在自体、夢物語だって言われていたんだぜ?だったら時間移動なんてビックリ技術があってもおかしくないだろう」


「……」


 そういえばそうだ。自分たちは今の常識に囚われすぎていたのではないだろうかと、それまでゲイルの妄想ではないのかと思っていた者も、真剣な目になって考え始める。



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