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病室にて

 多霧市での戦闘は黒霧家が勝った。


 襲撃してきた新たなる闇を黒霧家が叩きのめした。


 新たなる闇は約一〇〇人ほどだったが、その内約半数が死亡。


 半数が捕虜として黒霧家に捕らえられた。


 しかし、首謀者である弓木 紀文は捕らえられず、逃がしてしまった。 


 黒霧家は全力で弓木 紀文を探しているようだが、見つかるかは怪しい。

 

 ただ、弓木 紀文に黒霧家がそこまでかまう気はないだろう。


 これが本番ではない。本番は、この次。


 白夢・灰鮮連合との戦い。


 今までは、本腰をいれてこなかった白夢・灰鮮だが、新たなる闇が敗北、そして壊滅した以上、動かざるを得ないはずだ。


 しかし、今は両者、共に動きがない。


 結果、つかの間の休息が僕に与えられた。


 しかし、そろそろ、見つかるあてのない、弓木 紀文を探すための転戦が始まる。

 

 憂鬱だ。


 確実に無駄足だ、無駄足だが、他にあてがない。だから、言われたとおり、戦場巡りをするしかない。


 だが、今はつかの間の休息。


 真昼。朝よりも寒さはましだ。


 今日は松島さんに誘われて、明音のお見舞いという体で今後について話し合いだ。


 ただ、肝心の明音はいまだに起きる気配がない。


 もちろん死んでなどいない。


 



 多霧市、黒霧家の屋敷から歩いて五分。

 明音が入院する多霧病院についた。

 外観は病院らしく、白一色。

 この多霧市の数少ない病院であるためか、かなりの規模だ。

 屋上にでかでかと『多霧病院』と書かれた看板をのせている。

 

 外は寒いが、自動ドアをくぐると、ほどよい暖気に包まれた。

 受付の人に明音の病室を教えてもらう。

 エレベーターはボタンを押すとすぐに来てくれた。

 この病院は八階建て、明音は七階の七○五号室。

 

 迷うことなく到着した。

 明音は個室だった。

(さすが、黒霧家のご令嬢、VIP待遇ですね)

(魔術的な治療をしてるからだと思うがな)

 ノックすると、松島さんの「どうぞーー」と言う声が聞こえた。

 

(もう、いるんですか、あの人)


(嫌そうにするなよ、一応、明音の専属ドライバーなんだから)


(一応、ですね)


 ドアを開けると、病室は目の前の窓のカーテンが開け放たれているため、光で満ちている。

 特に、普通の病室と変わりはない。

 明音は点滴をうけている。

 しっかし、こんなに部屋は明るいのに、一向に起きる様子がない。

 ベッドの傍らのパイプ椅子に座った松島さんは何をするでもなく、貧乏ゆすりをしている。

 

「タバコが無いとつらいですか?」


 松島さんは苦笑いする。


「いやーー。最近ヘビースモーカーとして当然の生活を送っていたらこの有り様さ」


(明音ちゃんがいないとダメですねこの人)


 ストッパーだった明音がいないからか、不満が溜まっているからか、おそらく両方だろう。

 松島さんはよっぽど我慢していたのか、顔が青ざめ、髪が乱れ、唇は青く変色している。

 もはや、妖怪だ。

 

「今、明音が起きたらどうするつもりです? また怒られますよ、確実に」


「面目ない。いや実に面目ない。まあ、とりあえず座りたまえ」


 そう言って、松島さんは折り畳んで壁にたてかけていたパイプ椅子を手繰り寄せ、実に危なっかしい手つきで、広げ始めた。


「それぐらい、自分でやりますから、じっとしててください」


「ああ、そうか。いや、じっとすると言っても、手が震えて仕方ないんだけどね」


(酷すぎます、、、)


(僕もそう思うよ、、、)


 パイプ椅子に座り、明音の顔を見ると、すぐにでも起きそうな雰囲気はしている。

 しかし、こんな感じで今まで起きなかったそうだ。

 ずっと寝ているにもかかわらず、明音はとなりの妖怪と比べると明らかに健康体である。

 血色も悪くない。

 髪も乱れていない。

 看護師の人が丁寧に扱っているのが分かる。


「で? 話は何です? 松島さん」


 わざわざ呼び出されて、ここまで来たのだ。

 それなりの話が聞けなかったら、今すぐ、松島さんからタバコとライターを盗んでやる。


「まあ、話っていうのはね、君に弓木 紀文の残留魔力が残っていたら、すぐに位置が特定できるって話だよ。君だって、あてもなく探すのは嫌だろう?」

  

 なるほど。その手があったか。

 松島さんの位置特定は明音以外でも使える!

(残留魔力って何ですか?)

(要するに、魔術を使った痕跡だな)

 今回は、紀文が僕にかかった魔術を解除したとか言ってた。

 なら、僕の中に残留魔力があるはず!


「できるんですか? できるなら、今すぐにでも!」


 出来れば、最高だ。

 すぐにでも、再戦できる。


「できるとも! では早速やろう!」


 松島さんは僕の右肩に手をあて、目を閉じた。

 何か、ぶつぶつと呟いているが、どれもはっきり聞こえない。


 三〇秒後、松島さんは突然、目を開いた。

 

「完了した。完璧だ。すぐにでも行けるぜ」


 松島さんがドヤ顔なのは、気に障るが、これで弓木 紀文と再戦できる。


「行きましょう。今すぐ」

 

 勝算はない。


 だが、彼を殺さない限り、明音は救われない。




(あ、明音ちゃん!)


 明音の目がゆっくりと開いた。

 投稿する時間を固定したいのですが、なかなか上手くいきません、、、。

(なんやかんやで遅くなる)


 昨日と同じぐらいの時間帯、18~19時に固定したい!

 けど、ハードルむっちゃ高い!

(ぶっちゃけ無理)


 当分はこの時間帯に投稿すると思います。

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